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2010/03/15 (Mon) 2月下旬に読んだ本
2010/03/15 (Mon) 2月中旬に読んだ本
2010/02/11 (Thu) 2月初旬に読んだ本
2010/02/07 (Sun) 1月に読んだ本

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相変わらず京都本を読んでいる。それも今回は平安時代のスーパースター・紫式部だ。

『散華(下) 紫式部の生涯』(杉本苑子、中公文庫)
 紫式部のきらびやかにして波乱万丈な生涯を楽しめると期待して読んだのだが、なんと真逆だった。作者は式部を内向的な性格として描いていて、そのこと自体はまあいいのだけれど、それが行き過ぎていて今でいうネクラ人間になってしまっているのだ、それも超がつく。そんな性格のせいで周囲の好意を受け入れずに台無しにするばかりか、周囲や家族に大迷惑をかける。自分に厳しいのはいいのだが、他人にも厳しく、他人の欠点や失敗を寛容に受け入れることができない。それで他人を不幸にする。それにも増して気に入らないのは、あの源氏物語を書いた作者としての才能のきらめきが全く感じられないこと。なんで作者は式部をこんな性格設定にしちゃったんだろう。【★★】

口直しに面白かった本を2冊。

『百姓貴族(1)』(荒川弘、ウィングスCDX)。
 北海道は十勝にある筆者の実家を舞台に農家の暮しを描いた「日本初の」農家エッセイマンガ。時々毒も混じるギャグが連発される中、農家のハードにしてワイルドな生活が描かれる。全編面白いけど、中でも面白かったのが作者の農業高校での日々を描いた部分。その1日は信じられないくらいハード。5時半から7時まで朝実習、朝食後15時まで授業、15時から17時まで夕実習、それから18時まで部活。休みの日は休みの日で牛や豚の世話に追われる・・・頭が下がります。繁忙期には実家の農作業を手伝うために(!)学校をさぼる生徒が続出したり(「遊ぶため」ではないところが泣ける)なんてエピソードも楽しい。おススメ。【★★★★】

『断る力』(勝間和代、文春新書)
 本書を(乱暴に)一行で要約すると「人に依存しない独立した人間になるには『断る』ことを恐れてはいけない」ということになる。断ることの重要性や哲学に多くの頁を割いていて、期待していた「上手な断り方」については「高度なテクニックは不要。相手の要求に応える前に『他にいい方法はないか』と考えるクセをつける、それだけ」とそっけない。それでもぼくが本書に高い評価をつけるのは、「断ることによるマイナスは思ったより少なく、逆にプラスの方がはるかに多い」という著者の主張に勇気づけられたから。ぼくはいわゆる「頼まれたら断れない」性格で、これまで随分上司に便利に使われてきた。おかげでそれなりの昇進もしたが、代償も小さくなかった。よし、これからはイヤなものは断ろう・・・そういう勇気を与えてくれる本である。【★★★★】

4月上旬に読んだ本はハズレなし。どころか、どれも水準以上の面白さ。充実していた。

『まんまるわるつ ぷくぷくほっぺの巻(1)』(しらかわきくの、 講談社文庫)
 世のなかにネコまんがは多いのだが、イヌまんがは意外とない。アマゾンで検索して見つけたのがこの4コマまんが。少女漫画的カワイイ系絵柄に期待感が若干しぼんだが、その予想はいい方に裏切られた。イヌのかわいさは残しつつ、鋭いギャグが炸裂する。イヌ好きの方にはおすすめ。そうそう、札幌の方、あなたんところが舞台ですぞ。【★★★☆】

『婆沙羅』(山田風太郎、講談社文庫)
 北条高時、後醍醐天皇、足利尊氏・義詮・義満と、時代の支配者は変われども、その中で常に中心的な存在としてしたたかに生き抜き「鵺のような男」と言われたバサラ大名佐々木道誉が主人公。それをあの山風が書いたのだから面白からぬはずがない。だが・・・と言ってはなんだが、意外にまともな歴史小説だった。それでも、後醍醐が真言立川流という淫靡な密教の信者で、流罪になるときにきわめて淫靡な儀式を行うあたりに山風らしさが出ている。【★★★☆】

『四捨五入殺人事件』(井上ひさし、新潮文庫)
 「えっ、あの井上ひさしの推理小説!?」と期待半分不安半分で読み始めた。結構推理小説してました。最後の意外性も十分。タイトルの「四捨五入」の意味もきちんと明かされる。著者らしい皮肉も利いている。ただ、その皮肉が推理小説としてのわくわく・どきどき感を若干減殺している。【★★★☆】

『散華(上) 紫式部の生涯』(杉本苑子、中公文庫)
 これは下巻を読み終わってから評価したい。

『進化しすぎた脳』(池谷祐二、朝日出版社)
 著者の著書はどれも面白いが、高校生相手の四日間の特別講義をまとめたこの本も抜群に面白い。次々に繰り出される脳の秘密は意外性に富んでいて、知的好奇心をびんびん刺激する。例をあげよう。
 ・生きたネズミをラジコンにしてしまった研究がある。
 ・逆に、頭で考えただけで思ったように動かせる人工腕がある。
 ・人間の視神経は100万本しかない。いわば100万画素のカメラ。
  なのに、なぜあんなにきれいに見えるのか?
 ・喜怒哀楽の表情は人種を超えてなぜ世界共通なのか?
 ・人間の脳はものごとを"わざと"ゆっくりと学習しようとする。
  それが人間特有の意識や創造力を作り出している。
 ・人間は進化しすぎてしまい、もうこれ以上は進化しない。
  その代わりに人間は○○○を進化させ始めた。
・・・これでも本書を読みたくならない人はぼくの・・・。やめておこう。【★★★★】

『「他人支配」をやめると幸せになる』(黒岩貴、小学館)
 実はこの本は読んでない、どころか、買ってもいない。だが、タイトルを見ただけで、その主張の正しさ・よさがわかる。だって「他人支配」しようとしてイライラしてるもんね、自分。「もう少し自分の気持ちを汲んでくれてもいいのに」「また歩きたばこしてる」「どうして降りる人のためにどかないんだろう」ってね。わかった、明日から他人支配はやめよう・・・一銭も払ってないのにそう悟らせてくれたこの本はエライ。【★★★★】
【凡例】★5つが満点。☆は★半分。

相変わらず京都本を読んでいる。

まずは小説。
『この世をば(下)』(永井路子、新潮文庫)★★★★
 藤原王朝の頂点を極めた藤原道長を主人公に据えた歴史物語。上巻の面白さはそのまま下巻に引継がれる。道長は感情の起伏が大きい平凡人として描かれ、落ち込むとすぐ「もう辞める!」と駄々をこねる。そんな道長像が愉快。それにひきかえ道長の姉、妻、娘はみなしっかりもの。女性が歴史を動かしているとの著者の主張も説得力がある。清少納言や紫式部との交流があまり描かれていないのが残念。

続いてガイドブック。
『京都の寺社505を歩く(上)(下)』(槇野修、PHP新書)★★★★
 新書版ながら上下2分冊・合計約800ページの分量の中に505もの神社仏閣がぎっしりと詰まっている。だから、普通のガイドブックでは取り上げられない、マイナーな寺社も取り上げられている。それが貴重。著者は言う、有名どころでなくとも見るべき寺社は多いと。例えば、平等院近くの興聖寺。観光客はほとんど訪れないこの寺についての著者の説明・・・「寺社の境内へ向かうアプローチの美しさにおいて、この琴坂は数々の寺社の中でも三指に数えてよく(中略)・・・琴坂を抜け出ると、ちぎれ雲の流れる青空が豁然として開け、仏徳山の万緑を背景に興聖寺諸堂の黒々とした甍があらわれる」・・・どうですか、どうしたって行きたくなるってもんでしょ。「平等院に行くにはJR奈良線宇治駅からではなく、京阪宇治駅から宇治橋を渡って行け」などお役立ち情報も満載。京都の神社仏閣のガイドブックの決定版と言い切ってしまおう。・・・と力を入れたところで本のタイトルを見たら、すでに「決定版」と書いてあったf(^−^;)

京都本でないものも。
『読むだけですっきりわかる日本史』(後藤武士、宝島社文庫)★★★☆
 帯の文句にあるように「マンガのようにおもしろい」かどうかは別として、サクサク・すいすいと面白く読めた。ただ、語られるのは日本史の幹と太〜い枝のみ。小さな枝はもちろん、かなり太い枝もばっさばっさと切られる。まあ、でも文庫本1冊に日本の歴史を凝縮するというのだから、それ以上を求めるのはないものねだりと言えよう。私にとっては日本史の流れ、特に平安時代から戦国時代までの流れが理解できたことで満足。

というのは、そろそろまた京都に行こうかなんて目論んでるから。
そして、旅する目的地の背景情報を事前に調べるのは私の趣味なのだ。

3月中旬に読んだ本の中からまずは京都本を紹介しよう。

『秘密の京都』(入江敦彦、新潮文庫)★★★☆
 『秘密のナントカ』とか『ナントカの謎』と題する本は概してハズレが多いが、この本は例外だった。著者のこころざしが高く、全体に一本筋が通っているのがよい。しかも、紹介される「秘密の京都」はホンモノの「秘密の京都」だ。だが、観光の参考になるかというと疑問符がつく。「秘密の京都」は、たまさかにしか行かない観光客がそこを目指して行って感動するというようなものではないようだ。京都に住む人か、京都に何十回と行って行くべきところはあらかた行きつくしたような人が、ぶらっと京都散歩に出かけて、そのついでに寄るような場所のように思う。

『京の近代建築』(たかぎみ江/福尾行洋、らくたび文庫)★★★★
 私は神社仏閣だけでなく、近代建築にも大いに興味があるのだが、京都のガイドブックで近代建築を紹介したものはほとんど見かけない。そんな中で本書は貴重だ。文庫サイズながら写真も豊富、説明もコンパクトかつ要点を押さえている。

『おじさんの京都』(京阪神エルマガジン社、京阪神エルマガジン社)★★☆
 タイトルに「秘密」とは銘うっていないが、この本も秘密本のひとつだろう。入江本同様、本作りに思想があるのがよい。ただし、観光スポットの説明が簡潔すぎて何が何やらわからないことが多いのが残念。

『京都発見(1) 地霊鎮魂』(梅原猛、新潮社)★★★
 さすが著者ならでの力作。語られる蘊蓄は半端ではない。ただ、話が断片的なので(もともとそういう本なのだが)、せっかくの興味深い話が、京都の地理、京都の歴史という大きな枠の中にすっきりはまってくれないのがもどかしい。

『この世をば(上)』(永井路子、新潮文庫)★★★★☆
 以前から興味のあった藤原道長を主人公に据えた歴史物語。これが面白い、面白い。権謀術数の権化と思われた道長が若い頃はうぶな世間知らずという設定が新鮮。事実なんだろうか。道長をとりまく女性たちが生き生きと描かれ、さすが女性作家だなあと思う。あの清少納言も登場する。後編では紫式部も登場するだろう。楽しみだなあ。最終的な評価は下巻読了を待って。

続いて京都本ではない本。

『日出処の天子(1)』(山岸凉子、白泉社文庫)★★★★☆
著者ならではの異形の聖徳太子像を描いたコミック。相当以前に一度読みかけたことがあるのだが、聖徳太子のあまりの異形ぶりに辟易して1巻だけで放棄してしまった。今回は、自分が成長したせいか、異形の太子像にそれほど嫌悪感は感じない、どころか、面白い面白い。従来は善玉のはずの聖徳太子が悪魔っぽくて、敵役のはずの毛子が好感度満点の好青年というのも面白い。山岸涼子おそるべし。

『上を見るな』(島田一男、講談社)★★☆
NHK初期のTVドラマ『事件記者』で一世を風靡した著者による本格ミステリ。戦後すぐの時代でなければあり得ないアリバイトリックがみもの。とはいえ、文章も会話もあまりに古臭い。謎そのものもそうだが、謎解きの過程の盛り上げ方にももう少し工夫がほしい。でも、結末のつけ方にはいささか驚いたなあ。

3月上旬に読んだ本です。今回から評価順ではなく読んだ順で。

「薫大将と匂の宮」(岡田鯱彦、扶桑社文庫)★☆
 源氏物語宇治十帖の主人公二人を主要登場人物として配した世界で
 起こる殺人事件。その謎を解く探偵役は紫式部。そこへ式部の永遠の
 ライバルである清少納言が挑戦状を叩きつける!・・・もうワクワク
 もんですよね? 私もそうでした、読む前は。でも、紫式部が
 情けないくらい頭が悪い。それに対する清少納言の推理も、理屈も
 へったくれもない、憶測に憶測を重ねたでたらめなもの。なのに、
 紫式部がいったんは負けを認めてしまうのだから、もうあきれて
 ものも言えない。でもって、最後に明らかになる真相がヘタレの
 最高峰。ヤレヤレ。

「日和下駄一名東京散策記」(永井荷風、講談社文芸文庫)【途中放棄】
 周囲が変わっていくことに対する荷風の愚痴が延々と続く作品です、
 ハイ。

「東京都市と建築の130年」(初田享、河出書房新社)★★★
 これは勉強になった。だが、面白さという点では・・・。

「獅子の座 足利義満伝」(平岩弓枝、文春文庫)★★★
 足利義満のすごさはわかるが、それがどのようにして形成されたか
 がイマイチ伝わってこない。

あっ、★五つが最高点です。☆は★の半分。

2月21日〜28日に読んだ本です。

【傑作!】
『日本人の知らない日本語2』(蛇蔵/海野凪子、メディアファクトリー)
 外国人に日本語を教える教師の日常を書いたコミック第2作。
 外国人の日本と日本語に対する素っ頓狂な対応に今回も笑える。
 しかし。
 彼らは我々日本人から見れば日本語のしろうとなわけだが、
 何ごとでもしろうとは恐ろしい。
 くろうとが気付かない日本語と日本の矛盾や深淵を鋭く突いてくる。
 いや〜、深いデス。(こんなこと言われても何のこっちゃか
 わからないでしょうね。少しでも興味を持った人は本書を読め!)

【面白かった本】
『黒白の囮』(高木彬光、光文社文庫)
 本格ミステリの巨匠の晩年の傑作との呼び声高い作品。
 そこそこ面白かったが、ただいまさらアリバイ物というのは・・・。

【イマイチだった本】
『異邦人』(アルベール・カミュ、新潮文庫)
 世界の文学の名作中の名作に挑んでみた。
 ・・・その結果は撃沈。
 不条理小説という割には、それほど不条理ではなかった。
 ちゃんとストーリーはあるし、登場人物も一部を除けば普通だし。
 例の「太陽がまぶしかったから人を殺した」というセリフも、
 それほど劇的な形ではなく、さらっと登場して、いささか肩すかし。

『中央モノローグ線』(小坂俊史、竹書房)
 私にとってなじみ深い中央線の、その沿線に住む女の子たちの
 日常を描いた4コマ漫画ということで相当期待して読んだ。
 しかも、かなり面白かった『せんせいになれません』の作者だし。
 でも、切れ味のよくないワンパターンの話が続いて途中でギブ。
 ざ・ん・ね・ん!

2月11日〜20日に読んだ本です。この間は読んだ本が少なかったなあ。オリンピックのせいかしら?

【とても面白かった本】】
『火神被殺』(松本清張、文春文庫)<ミステリ>
 「さすが巨匠!」と手を打ちたくなる粒よりの短編集。古代史の謎と本格ミステリを結びつけた表題作もよかったが、冤罪事件を逆手に取った「奇妙な被告」に唸らされた。ブリュッセルへの夫婦旅行で夫が不倫相手のために購った土産が思いがけない結果を引き起こす「葡萄唐草文様の刺繍」も印象に残る。

【面白かった本】
『細い赤い糸』(飛鳥高、双葉文庫)<ミステリ>
 昭和37年探偵作家クラブ賞受賞作。これまで読もう読もうと思って積ン読状態になっていた本。4つの無関係と思われた死が最後の最後になって結びつき、あっと言わされる。その時になって「あれも伏線だったか、これも伏線だったか」と呆然とさせられた。ただ、最初本格ミステリと思い込んで読んでいて、なかなかストーリーがそれらしく展開しないのに苛立って途中で解説を読んだのが大失敗。思いっきりネタばらししていた

【途中で挫折した本】
『東京オブジェ』(大川渉、ちくま文庫)<東京ものエッセイ>:感想略。

『法隆寺の謎を解く』(竹澤秀一、ちくま新書)<歴史書>:感想略。

『陽炎ノ辻―居眠り磐音』(佐伯泰英、双葉文庫)<時代物>
 大ベストセラーになっているゆえ逆にこれまで敬遠していたが、あれだけ売れるにはそれだけの理由があるだろうと初めて手に取った。だが、最初の数ページで投げ出した。あまりに荒っぽくて。始まってすぐ主人公の親友(Aとしておこう)が最愛の妻を手打ちにし、もうひとりの親友がそのAを斬り殺してしまう(!)のだが、そんな大事に至る理由があまりにずさんで説得力がない。主人公を江戸に追いやるためだけのつじつま合わせでそうしたとしか思えない。主人公が江戸に行ってからが本番でそこから面白くなるのかもしれないが、とてもそこまで付き合う気になれなかった。もうこの作者の作品を手に取ることはないだろう。

マンネリ覚悟でしばらく続けたい。

1月分まとめての紹介は結構大変なので、今回は10日分(正確には11日分)を。
2月1日から11日までに読んだ本です。今回も面白度別に。

【とても面白かった本】
『英文翻訳術』(安西徹雄、ちくま学芸文庫)
  定年後、実務翻訳でヒマつぶしと生活費稼ぎの一石二鳥ができないか・・・なんて
  虫のいいことを考えていまして、そのための勉強の一環として読んだ本。
  関係代名詞や名刺構文や時制など、翻訳する際に苦労するテーマを取り上げて、
  テーマごとに豊富な例文をもとに翻訳のコツを手ほどきしてくれる。
  練習問題も豊富で、私がこれまで読んだ翻訳指南本では1,2を争う良書。
  時には安西先生も翻訳にてこずって一緒に悩む姿を見せるのも好感を持てる。

『舞姫(テレプシコーラ) (8)〜(10)』(山岸凉子、メディアファクトリー)
  あの名作『日出る処の天子』の作者による、バレエがテーマのスポ根もの。
  10巻で第一部が完結。とっても面白いんだけど不満も。
  最後に救いがあるのはいいけれど、話が暗くて陰惨すぎる。
  暗い話がキライな私はちょっと閉口。
  ベストセラー作家の保坂和志が『書きあぐねている人のための小説入門』で
  「小説というのは普通に書いていると、どうしても暗いほう暗いほうに
  話が流れていってしまう」・・・てなことを言ってたけど、当たってるな。
  第2部は明るい話にしてちょうよ、山岸先生。

『ドッポたち』(小泉吉宏、幻冬舎)
  恐竜が主人公の(!)学園四コマ漫画。作者は『ブッタとシッタカブッタ』で
  哲学的ギャグ漫画という新ジャンルを樹ち立てた人だが、
  『ブッタとシッタカブッタ』が説教くささが鼻についたのに対して
  この本ではそれが薄れていて好感がもてる。
  その割に結構深いのもいい。

【面白かった本】
『女子高生チヨ(64)』(ひうらさとる、講談社)
  タイトルにある「(64)」てのは主人公の女子高生の年齢(!)。
  そう、中卒である作者の祖母が、ある日思い立って夜間高校に入学しちゃうのだ。
  その学校生活を描いた作品。それだけで面白さ保証付きって感じだよね。
  ただ、その極上の材料を料理する作者の手腕がいまひとつなのがちちょっぴり残念。

【イマイチだった本】
『錯誤配置』(藍霄、玉田誠)
  あの本格ミステリの旗手・島田荘司プロデュースの台湾ミステリシリーズのひとつ。
  ある日周囲の知人が自分のことを忘れてしまうという書き出しは十分魅力的なのだが、
  その真相があれでは。意外な真犯人も、あんまりだ。
  光るところはいくつかあるだけに、惜しい。

『ポチの群れ(1)』(たかの宗美、宙出版)
  なんか、癒し系にしようという意図がみえみえなのがいやらしい。絵もイマイチ。

【途中で投げ出した本】
『女王陛下のユリシーズ号』(アリステア・マクリーン、ハヤカワ文庫)
  冒険小説の神様の処女作にして海洋冒険小説ナンバー1の傑作・・・らしい。
  相当前に買った本だが、なんだか内容が重そうでずっと棚ざらしにしていた。
  このたび勇を鼓して手にしたのだが・・・。やっぱり重かった(;^_^A
  
『ジャズの歴史物語』(油井正一、アルテスパブリッシング)
  最近ジャズを好んで聴いていて、ジャズの歴史に興味をもって手に取った本。
  ジャズの歴史を書いたものとしては最高傑作との呼び声に、期待して読んだのだが。
  ストーリーが整理されていなくて肝心の歴史がすんなり頭に入ってこない。
  いくら名作だろうが、私に合わないものは合わない。

『超弦領域』(大森望、創元文庫)
  SFの傑作集。疎遠になりがちだったSFとの復縁を試みたのだが、ダメだった。
私が1月に読んだ本を紹介。
面白度別に分類してます。

・・・にしても、「とても面白かった本」がいずれもコミックとは、
われながらなんとも・・・。

【とても面白かった本】
『舞姫(テレプシコーラ) (5)(6)(7)』(山岸凉子、メディアファクトリー)
 ・・・バレエをテーマにしたスポ根ものの傑作。
    一度読み始めたらやめられなくなります。

『くるねこ4』(くるねこ大和、エンターブレイン)
 ・・・ペット(←本書ではネコです)ものコミックとしては、
    私が考えるに、これまでで最高のシリーズの4作目。
    作者の、クールなようでいて暖かい視点がすばらしい。

【面白かった本】
『天使の歩廊』(中村絃、新潮社)
 ・・・日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。
    建築をテーマとしたファンタジーというのが珍しい。
    ただ、ストーリー的にいま一歩食い足りない感じも。

『あやしい取材に逝ってきました。』(小沢カオル、秋田書店)
 ・・・30過ぎてメイドカフェのメイドに挑戦したり、
    富士山の樹海に出かけて自殺者を救ったり、
    作者の突撃精神に感服。

『菜の花の沖(2)』(司馬遼太郎、文春文庫)
 ・・・さすが、シバリョウ。

『せんせいになれません(1)』(小坂俊史、竹書房)
 ・・・熱血先生とは真逆のダメ先生を主人公にした四コマギャグ漫画。
    ありえね〜と突っ込みながら読んでるうちに
    「意外にありうるかも」と思ったりして。

『一箱古本市の歩き方』(南陀楼綾繁、光文社新書)
 ・・・一箱古本市というの、はみんなが段ボール1箱ずつの古本を持ち寄って
    道端でいわば本のフリマをやってしまうというイベント。
    それを最初に企画した方によるドキュメンタリー。
    読んでるうちに自分も参加したくなってくる。

【イマイチだった本】
『赤毛の男の妻』(ビル・S・バリンジャー、創元文庫)
 ・・・傑作との呼び声高いミステリーの古典。
    途中はサスペンスフルでなかなかだったが、
    いかんせん最後のオチがピンとこなかった。

『大人の東京散歩』(鈴木伸子、河出文庫)
 ・・・紹介されている町に対する作者の情熱が感じられなかった。

【「金と時間を返せ!」と言いたくなった本】
『The Heckler』(Ed McBain)
 ・・・87分署ものにもこんな駄作があるんだという見本。
    なによりも核となる犯罪そのものが、筋が通ってない。

【途中で挫折した本】
『The Woman in White』(Wilkie Collins、Bantam Classic & Loveswept )
 ・・・ミステリーの超名作『月長石』の作者のミステリー(?)。
    結構おもしろかったんだけど、描写がくどくてくどくて
    途中で胃にもたれてしまいました。

『小さき者へ・生れ出づる悩み』(有島武郎、新潮文庫)
 ・・・ただ、退屈のひとこと。こんなのが名作なのかねえ。

『ダーウィン以来』(スティーブン・J・グールド、ハヤカワ文庫)
 ・・・グールドとは相性が悪そうだ。

『カンブリア紀の怪物たち』(サイモン・モリス、講談社現代新書)
 ・・・グールドとではなく、進化論と相性が悪いのかも。

『ザ・ニッポンレビュー! ガイジンが見たヘンタイでクールな日本』(えいち、洋泉社)
 ・・・ネットの書き込みをまとめただけの安直な作品。
    ガイジンさんの日本の見方もステレオタイプを超えていない。

『宗像教授異考録(1)』(星野之宣、小学館)
 ・・・考古学をテーマとした伝奇もの、しかも星野之宣の作品とあって
    期待したのだが、謎そのものと謎解きの過程がいかにも薄っぺらい。

長編だが、ひとつひとつの章が独立した短編としても読めるようになっている。その短編がいずれもイイ。ハラハラワクワクの推理小説としても読めるし、ほろっとする人情小説としても読める。

そして、常套手段ではあるが、無関係と思われたそれぞれのお話がひとつの話へとつながっていく。その話は、もちろん推理小説だから、ある事件なのだが、その事件は各章で見え隠れはするものの、なかなか全貌が見えてこない。被害者が誰かすらもすぐにはわからないくらいだ。それが次第に見えてきたかと思うと怒涛のように解決の海へとなだれ込む。その醍醐味はすばらしい。

読み終えて、東野圭吾はうまい!と改めて思う。そして、そのうまさにイヤミがない。作者の術中にはまるのがこころよく感じられる。なぜだろうと思う。たとえば、宮部みゆきも無類にうまいと思うが、彼女のうまさにはイヤミがあると感じられるのだ。彼女の術中にはまるとコンチクショウと思ったりする。どこが東野圭吾はちがうのだろう。

この小説はすいすい読める。あとにずっしり来るものはない。読み終わって「あ〜あ、面白かった」。それで終わる小説である。だから、このミスと文春ベスト10でダブル1位となったのは意外な気もする。4以か5位くらいが似合いなのになあと、著者には失礼ながら思ってしまう。

なお、読み終わって裏付けを見たら、第1章の発表が5年前である。その頃から長編化を構想していたのだろうか? これも驚きである。

【じっちゃんの誤読的評価:★★★★】

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