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三上 洸
Amazonランキング:222855位
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厚さ4cmはあろうかという大著ですが、最初から最後まで一気に読めます。その面白さ、リーダビリティには脱帽です。

知的障害を持つ、物言えぬ美少女・真里亜。才能がありながら暗い過去から立ち直れない天才画家・本庄敦史。2人が出会い、真里亜が絵画の才能を開花させていく。その過程だけでも読みどころ満載なのに、これに過去の殺人事件や現在の巨悪が絡んできてますます面白くなってきます。

そしてその過去の犯罪や巨悪を暴いていくのが真里亜の、絵画の才能に関係する、"特殊な"才能。これ、すごいですよぉ。そして、敦史や真里亜たちに対する敵役もすごい。すごすぎて眉につばをつけたくなるくらい(;^_^ A もう悪の権化みたいな連中です。彼らが本庄と真里亜にひたひたと迫ってきます。その迫り方も半端じゃありません。ものすごいシーンが続出します。もう呆然とするしかありません。

真里亜、敦史、それを取り巻く人々の人物造型も魅力的です。特に敦史の絵画の恩師がぐっときます。かっこよすぎます。

・・・とまあ、絶賛みたいな形になっていますが、不満もあります。それも大きな不満が。

筆遣いは、端整といってもいいくらいの、抑制されたリアリスティックなものだし、敦史や真里亜たちのパートの描写はリアルなのですが、一方で敵役とその悪の構図があまりにマンガチック。もう、それが明らかになった時点で本を投げ出そうと思ったくらい。でも、そこまで読んできた敦史と真里亜の物語が面白かったし、続きが気になるので何とか踏みとどまりました。

アクションシーンもありえねえ〜って感じ。007やゴルゴ13のようなシーンが続出します。一般人にとうていあのアクションができるとは思えません。しかも法律無視。あれで、なんのお咎めなしってのも信じられません。

とまあ、最後はけちをつける形となりましたが、そこんとこさえ気にならなければ、あるいは我慢できれば、冒頭にも書いたように抜群に面白い小説であることは間違いありません。

【じっちゃんの誤読的評価:★★★】

赤川 次郎 / 文藝春秋(2006/11)
Amazonランキング:170595位
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赤川次郎は初期の作品(『幽霊列車』や『三毛猫ホームズの推理』などはなかなか洒落た読ませる作品でした)を2、3読んで以来、その後の「粗製濫造」と言ってもいいあまりの多作ぶりにずっと敬遠して来たのですが、この作品は「傑作」と評価する人がおり、また初期の作品でもあることなどから久々に手に取ってみることにしました。

で、その結果は、カックン肩透かし。私は小粒ながら洒落た仕掛けであっと言わせるミステリを期待していて、最初のうちはベタな設定・ベタな展開ながら、その期待に沿っていたのですが、途中から物語がヘンな方に転がっていきます。まずはウールリッチ風サスペンス小説が展開されるのですが、設定がマンガチックでリアリティゼロなので、作者がサスペンスを盛り上げようとすればするほど白けていきます。そして、それに陰謀小説的要素が加わってきて、それがまた物語から見事なくらい浮いちゃってるんですよね。

最後にはお決まりの大どんでん返しが待っているのですが、そこで明かされる真相もあきれるばかりの真実味のなさ。あれもこれもそれも・・・・。そもそも、あんな動機でこんな犯罪を犯す人間がいるとは思えません。いえ、100%ないとは私も言い切れませんので、それならそれで、人間描写その他を工夫してその納得性を高めるべきでしょう。

もう2度と赤川次郎には手を出しません。

【じっちゃんの評価:★】

深水 黎一郎 / 講談社(2007/04/06)
Amazonランキング:1615位
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最初タイトルにある「ウルチモ・トルッコ」って何の意味だろうと思ってたのですが、ウルチモ=ultimo=ultimate(英語で「究極の」)、トルッコ=trucco=trickだろうと想像が付き、語感からイタリア語だろうと当たりをつけ、オンライン辞書で調べてみたら案の定イタリア語で「究極のトリック」という意味であることが分かりました。こうして見るとやっぱり英語とイタリア語って似てるんだなあと当たり前の事実に改めて感慨を覚えました。

「究極のトリック」とは大きく出たもんですが、タイトルで宣言している通り読者を犯人に仕立て上げることができたら、あながち大ぼらでもありません。読者=犯人というのは確かに「究極の」意外な犯人ですからね。

読者=犯人に挑戦したミステリは数こそ少ないですがこれまでにもないことはありませんでした。しかしながら(私もいくつか読んだことがありますが)どれも読者が心底「自分が犯人だ」と思えるようなものではありませんでした。そのことは本書の作者も本書の中で言及しています。そして、この『ウルチモ・トルッコ』はそうではないと高らかに宣言しています。期待せずにはいられないではありませんか。

その結果はどうだったでしょうか。


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古野 まほろ / 講談社 ¥1,680
Amazonランキング:22212位
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「めくるめく知の饗宴、物狂おしいまでの超絶技巧。メフィスト賞、いやノベルス史上空前の本格ミステリ」(帯の惹句より)。新本格の仕掛け人にしてメフィスト賞の創設者宇山日出臣氏の言葉とあれば、読まずにはいられないでしょう。ましてや、冒頭に『虚無への供物』の登場人物・奈々村久生の言葉が引用されていることからもわかるように、あの超名作『虚無への供物』へのオマージュとして書かれているとなればなおさらです。

で、実際読んでみて「史上空前」というのは間違いありません。『虚無への供物』のオマージュというだけあって『虚無への供物』との類似点もいくつかあるものの相違点も多いですし、「史上空前の」ミステリといえば真っ先に思い出す清涼院流水や麻耶雄嵩、殊能将之、あるいは京極夏彦、さらには大御所・小栗虫太郎の作品ともまったく違っています。違っているだけでなく、「史上空前」という形容詞にふさわしい仕掛け(良し悪しは別にして)がいくつもあります。

そういう意味でこの本を読む価値は大いにありです。しかし、しかし。ミステリとしての、いやそれ以前に物語としての出来は・・・・残念ながら疑問といわざるを得ません。


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黒川 博行 / 東京創元社 / 693円
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ミステリ作家としては中堅どころの黒川博行さんですが、私は初挑戦です。のばらさんが昨年度ベスト10のひとつに黒川さんの作品を挙げておられるのを見て、長いこと積ン読本状態だったこの作品『切断』を読んでみました。

黒川さんの作品の最大の特徴のひとつは、のばらさんもおっしゃっているように、大阪を舞台として大阪弁の会話が飛び交うこと。関西(とりわけ大阪)在住ないしはご出身の方にはたまらないようですし、関西の人間ではない私も新鮮かつ面白く感じられました。

物語の構成はちょっと複雑で、犯人の視点で犯行の状況を描く「犯罪小説(倒叙ミステリとも言えます)」のパート、大阪府警の視点で捜査の状況を描く「警察小説」のパート、この二つより過去の時点(事件の発端部?)を描く「ハードボイルド」のパートからなります。


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杜の都・仙台にまた出張で行って参りました。今度は一泊二日です。一日目の夜は『利休』というお店で念願の仙台名物・牛タンを食しました。おいしゅうございました。ただ、同行者がいたこともあり、仙台ラーメンは食べることができませんでした。12月にもう一度行くので、今度はできれば食べたいところです。でも次回も同行者ありなので、無理かな。

行き帰りの車内で読む本は2冊持って行ったのですが、往路で読み始めた本があまり面白くなく途中放棄。これでは帰りまで持ちません。ということで、ホテルにチェックイン後すぐ、復路で読む本を求めるべく近くにある書店へ。

その書店へ行ってプチビックリ。池袋に本店がある超有名な書店・ジュンク堂の支店だったのです。池袋のジュンク堂は若かりし頃に行ったことがあるのですが、最近は行ったことがありません。

仙台のジュンク堂はとても印象的な店でした。書架が濃い茶色の木製でちょっとレトロな雰囲気。しかも足元から上に向かってチルトしています。その書架のせいで店内もちょっと重厚でレトロな感じ。書架の脇には机と椅子が置かれていて、立ち読みならぬ座り読みができるようになっています。こういうのは池袋の本店も同じなのでしょうか。多分そうなんでしょうね。店のポリシーが感じられ、私は好感を持ちました。

さて、往復の新幹線の中で読んだのが、あの本格書店ミステリ『配達あかずきん』の次作、しかも長編の『晩夏に捧ぐ』。おっと、これは途中放棄の本ではありませんよ。

※注意!!これから『晩夏に捧ぐ』を読むつもりの方は続きを読まない方がいいかもです※

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北村薫が創始した「日常の謎」系ミステリ(※)については、これまで私は熱心な読者ではありませんでした。なぜと言われても「うーん」となってしまいますが、なんかあのパステルカラーを思わせるフンワカした雰囲気(←どういう雰囲気だ?!)がイマイチ肌に合わないんですかね。読めばそれなりに面白いし、キライってわけでもないんですが。
 ※殺人などの大事件ではなく、普段の生活中に転がる
   ささやかな謎を扱ったミステリ。 北村薫・加納朋子・
   光原百合等が有名。(はてなダイアリーの定義によ
   る。じっちゃん注:若竹七海もですね)

この『配達あかずきん』も「日常の謎」系ミステリで、空犬さんのご推薦がなければ、そして本屋をテーマにしたものでなければ、手に取らなかったかも知れません。

物語りの舞台は駅ビルの6階にある書店「成風堂」。そこのしっかりものの店員・杏子と、少しドジだけど洞察力がすごいアルバイトの多絵のコンビが本を巡る「日常の謎」を解いていきます。この「本を巡る」というのが本好きにはたまりません。

この作品は全5話からなっています。そのうち最も「本を巡る」謎っぽい3話を取り上げ、「本を巡る」謎がどんなものかご紹介しましょう。

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「時間ものにまだこんなすごい奥の手があったなんて・・・・・・」。帯に書かれた大森望さんのコメントです。時間ものが好きな私はまんまとこの惹句にひっかかって、見かけた書店で即購入しました。普段は家に帰ってからネットで注文するので、書店で即購入というのは珍しいです。

時間ものといえば、時間旅行(タイムトラベル)と大体相場が決まっています。しかし、本書はタイムトラベルものではありません。タイトルにもあるように、これまでの人生の中から消してしまいたい瞬間(正確には3分26秒。これがタイトルの謂れ)を自由に削除できる装置を手に入れた少年の運命やいかに、というスペキュレーション小説です。

栄えある第一回ポプラ社小説大賞受賞作。
 ※ポプラ社小説大賞についてはこちらをご覧になってください。
   選考者が作家や評論家ではなく編集者であること、賞金が
   2,000万円と数ある文芸賞の最高額であることなどが特徴です。

購入後私は『ナイチンゲールの沈黙』を読み終えるのを待ちかねるようにして、すぐに読み始めました。
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時代小説作家として知られる南條範夫のミステリー『からみ合い』を読みました。(残念ながら画像はなしです。)

購入したのはかなり以前なのですが、発表年が1959年(昭和34年)と古く、またあらすじを読むと自分の好みとは若干ずれていることもあり、傑作との呼び声も高いにかかわらず、ずっと積ン読状態になっていたものです。

『邪魅の雫』『シャドウ』とご贔屓作家の作品を二つ読んだところで、今度は何を読もうかと書棚をサーチし、気まぐれにこの本を選びました。

癌にかかって死期が近いことを知った裕福な会社社長が、相続者を探して部下や顧問弁護士などに、4人の隠し子探しを申し付けるところからこの物語は始まります。巨額の遺産が絡みますので、4人の隠し子、その隠し子を探す人々、社長の妻、さらには社長自身の思惑がからみ合って物語は進みます(このあたりが題名の由来でしょう)。それぞれが自分の取り分を多くしようと策略をほどこし、騙し騙され、狸の化かしあいが繰り広げられます。この騙しあいそのものと、最後に笑うのは誰かというのがこの作品の読ませどころです。

作者の筆は滑らかで、文章も思ったより古臭くありません。物語のテンポも早く、意外な展開も随所に織り込まれているため、すいすいと読めます。

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倉知淳は大好きな作家です。特に『星降り山荘の殺人』は端正な本格ミステリで、私の中では日本ミステリオールタイムベスト10とまではいかなくともベスト20には確実に入る大傑作です(※)。

※これを読んでいない方は幸せものです。これからこんな大傑作が読めるんですから。

が、何しろ寡作で。デビュー後11年間で10作しか作品を出しておらず、しかもそのうち長編は4作のみ。なかなか長編の新作を読むことができません。

というわけで、これまで子供向けということで敬遠していた『ほうかご探偵隊』を、古書店で見つけたのを契機に読むことにしました。

で、早速飛びつくように読み始めたのですが、途中で「ん」となりました。というのも、こんな記述があったからです。
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