有栖川有栖
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犯罪学者・火村英生が探偵役をつとめる「学生アリス」シリーズの最新作。作者の大ファンである私は飛びつくようにして買った。
長編という触れ込みだが、本を開いてみたら、中編2作が並んでいてちょっと失望。2作の中編に密接な関係があるのは確かだが、両編が全体としてひとつの大きな物語を構成しているわけではなく、長編と称するには無理がある。せいぜい言っても「連作長編」だろう。
しかし、そんな失望は作品を読むにつれ消し飛んだ。恐怖小説の名作『猿の手』が思いがけない形で事件の解決に寄与する第一部。突如の地震の発生が物語りの様相を変えてしまう第二部。どちらも、提示される謎、解決に至る道筋が魅力的で、ぐいぐい読まされる。クイーン張りのロジックに基づく推理には相変わらず冴えが見られ、大いに堪能した。
そして登場人物が魅力的なのもこの作品の美点だ。火村、アリスのコンビはもちろん、容疑者、関係者、警察側の人間、いずれも魅力的。ことに両作品に共通で登場する「妃」の人物造形は面白い。
ページ数にして250ページ程度と分量も少なく、サクサクっと楽しく読めて、読後感もいい佳作。
【じっちゃんの誤読的評価:★★★☆】