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幕末と言えば、戦国時代と並んで最も歴史小説の舞台となることが多い時代です。スターもそれこそ星が降るほどいて、人気No.1の坂本竜馬を筆頭に西郷隆盛、勝海舟、徳川慶喜、土方歳三、川路聖謨、村田蔵六(大村益次郎) 、島津斉彬、ジョン万次郎、清水次郎長、福沢諭吉、吉田松陰、伊藤博文、間宮林蔵ともう目白押し。ちなみに今挙げた人物は、私が過去に読んだ(あるいは読みかけた)小説の主人公になった人々であります(※)。
 ※こうしてみると、結構私も読んでいるものであります。

しかし、幕末の主要登場人物でありながら、歴史小説の主人公としてはほとんど取り上げられていない人物がいます。それは・・・・・・・・もったいぶったところでダメですよね、だって記事のタイトルになってるんだもん。そう、榎本武揚です。

榎本武揚とはどういう人物だったか。自分の記憶にのみ頼って書いてみると・・・・。

榎本武揚は、維新の際には幕府の側の人間として官軍と戦い、鳥羽・伏見の戦いで幕府が敗れるや、仲間(中には新撰組副長の土方歳三もいた)とともに北海道(当時は蝦夷)に渡り、箱館の五稜郭に籠もって蝦夷共和国を樹立、自ら総裁となった。その後攻め込む官軍に敗れ降伏するも、その才能を惜しまれて助命されたばかりか、その後特赦によって出獄すると、政府の要人として取り立てられ大活躍した。・・・・・・・てなところでしょうか。

この榎本武揚を主人公にした作品、それも長編となると安部公房の『榎本武揚』しか思いつきません。なぜでしょうかね。同じ幕府側の人間でも、勝海舟、徳川慶喜、新撰組なんかはよく主人公になるんですけどね。武揚も維新の流れの中にはいましたが、ど真ん中ではないせいですかね。竜馬や西郷、勝海舟などのように維新に大きな貢献をしたわけでもなく、新撰組のような悲劇性もないですしね。

でも、私にとって榎本武揚は以前から気になる存在でした。賊軍の旗頭のひとりなので、固陋な人物として小説などでもあまりよく言われない感があるのですが、「固陋」を逆に見れば、時流に流されず自分の信念を貫いた信念の人ですからね。顔かたちもハンサムでカッコいいってイメージで。実際残された写真を見ると、榎本武揚はハンサムな人だったらしいです。
 ※榎本武揚の写真はこちらでどうぞ。

その武揚を冒険小説の名手・佐々木譲が取り上げてくれました。それが、この『武揚伝』です。
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