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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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ライブドア監査人の告白

大分出張から帰って参りました。

出張で何といっても楽しいのはその土地土地のおいしいものを食べられることですね。大分といえばカボス、関サバ、関アジ、大分ラーメン(?!)(※)。関サバは食べられませんでしたが、関アジのお刺身を食べることができました。大変おいしゅうございました。カボスも焼酎にたっぷり絞り込んで飲ませていただきました。カボスは日本のレモンなんていいますが、そのおいしさはレモンの比ではございません(もちろんカボスが上!)。

※ガイドブックを見てもタクシーの運ちゃんに聞いても、大分ラーメンというのは無いとのこと。大分で食べられる九州ラーメンは主として久留米ラーメン系か博多ラーメン系になるそうです。

ラーメンはどうしたって? ラーメンは9/9の『「なんつッ亭」に行く』の記事に書いた「出張先でラーメンが食べられる条件」の③が整わず行けませんでした。もっとも、前回の出張時に2回も行っていますのでそれで満足せねばならないでしょう。

さて、本題に入りましょう。今回は出張前に読み終えていた『ライブドア監査人の告白』です(※)。
※出張で読んだのは別の本。不思議なもんで、この間まではネタ切れにあえいでいたのに、今やネタがだぶついている状態。なんかこう周期ってもんがあるんですね。

この本を読んだのは、ライブドア事件そのものへの興味というよりも、①このような不正がなぜどのように行われ、②なぜ監査人によって発見されず、③その一方でなぜ検察によって発見されたのかに強い興味があったからです。本書はライブドアの監査人を勤めた人が書いた本ですからかなり突っ込んだ話が聞けるのではないかとの期待もありました。

結論を先に言うと、①②については期待通りの内容、③についてはほとんど突っ込んだ話はありませんでした。が、著者の立場からいってこれはやむをえないでしょう。

この事件ではライブドア関係者だけでなく、著者・田中慎一氏が所属する港陽監査法人からも逮捕者が出ていますが、田中氏は事件に直接関与していなかったということで逮捕されていません。関与どころかライブドアの不正を阻止しようと頑張ったということで、検察から逆に評価されたりしています。

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ライブドア事件の発覚(検察による強制捜査の開始)から始まるこの物語は、さすがライブドア監査人による準内部告発だけに、加工されない生の迫力があり、読み出したら止まらない面白さでした。

以下特に面白かった点を列挙してみましょう。あ、事件の構図等事件そのものについて詳しく触れることはしません。それらに興味のある方は実際に本を読んでいただきたく。なお、以下< >内は私のコメントです。

●検察関係
・検察はあらかじめシナリオを作り、そのシナリオに沿って捜査を進めてくる。時には事実を捻じ曲げてでもシナリオに合わせようとする。したがって、ある人物を有罪にするか無罪にするかは検察の意のまま。田中氏は弁護士から「決して捜査当局を刺激しないように」と釘をさされたとのこと。 <権力というのはとてもこわいですね。そう言えば映画にもなった『不撓不屈』(高杉良)も一税理士が国税局の不興を買って濡れ衣を着せられそうになるこわーいお話でした>
・検察の不興を買わないためには時には検察のシナリオに乗ることも必要で、実際田中氏もシナリオに乗った供述をしたとのこと。 <うーむ、我が身を守るためにはやむをえないんでしょうかね>

●ライブドア関係
・堀江氏は見た目と違い、すごく真摯で純粋な人。ライブドアNo.2の宮内氏が監査人を軽んじて小ばかにする態度をとっていたのに対し、堀江氏は忠告を真剣に聞いてくれ、即座に対応してくれた。 <その一方で著者は堀江氏が逮捕後責任逃れに終始していることに憤りも表明している>
・一方で、堀江氏の描くインターネット企業というライブドアのビジョンについて、側近を含め周囲の人は誰も信じていなかった(うまく行くとは思っていなかった)。 <!!!> 
・実際インターネット関連ビジネスは赤字であり、そのため周囲は手っ取り早く稼げる錬金術、果ては粉飾決算に走った。
・ライブドアの粉飾決算はこれまでにない斬新なものだった。従来の粉飾決算は業績悪化で倒産しかねない会社が資金繰りに困らないように業績をよく見せるというものだったが、ライブドアは資金潤沢な優良企業であり、倒産の心配はまったくなかった。このような会社が粉飾を行ったのは日本で初めてのケース。
・そのような企業が粉飾決算を行った背景には時価総額を最大の目標とする経営があった。宮内氏を始めとする経営陣はその目標達成に向けて相当のプレッシャーを常に感じており、本業に力を入れるのではなく安易な道に走った。
・宮内氏が今回の事件の首謀者だったが、彼の暴走を止められなかったのは上司の堀江氏も、財務部門の所属員も、誰も宮内氏の行動をチェックしていなかったから。 <このことから、やはり内部牽制=会社内の関係者による相互チェックが最大の不正防止策であることがわかる>

●会計監査人関係
・企業の決算書に疑問があっても、会計監査人としてはなかなかダメ出しをできない。ダメ出しをすると上場会社は上場廃止になるなど重大な結果を招くし、それによって企業側から監査人が莫大な損害賠償の告発をされるリスクもあるため、監査人は腰が引けてしまう。 <田中氏のあばく監査人の実情に「天下の公認会計士もこんなに気弱なのか」とびっくりさせられる>
・ライブドアも悪いが手抜き監査でライブドアを甘やかし増長させた監査時法人も同じくらい悪い。「会社のため」などと言い訳をして厳しい意見を出すことに腰が引けていたことが、長期的には最悪の結果を招いてしまった。これはカネボウ事件や他の事件でも同様。たとえ短期的には会社に損失を与えてもダメなものはダメといえる意志が、結局は長期手には良い結果を生む。
・会計監査人にとって本当に必要なものは、知識でも頭のよさでもなく、確固とした"強い意志"である。 <これは他の職業にも当てはまる>

以上は問題点ばかりを列挙しましたが、著者はもちろんこれに対する対策も提案しています。ただ、私の腕では簡単かつわかりやすく紹介することが難しいので対策については割愛いたします。

著者はまだ34歳と若いのに文章はこなれていて、かつ理路整然としている(文章を書くのが仕事のかなりの部分を占める職業ですから当たり前といえば当たり前ですが)ので大変読みやすかったです。会計監査という世界をまったく知らない方にも理解できるように、わかりやすく丁寧に書かれていますので、日ごろこうした世界にふれることのない方も、自分の知らない世界を覗くつもりでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

【じっちゃんの評価:★★★】

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COMMENT

こんにちは。
興味深い本ですね。ライブドア問題もその真相を知りたいものです。早速店頭で手にとって見たいと思います。いつもためになる本を紹介していただいてるので、とても参考にしています。これからも更新、楽しみにしております。失礼しました。

ホームページ制作さま、ご訪問&コメントありがとうございます。

お褒めのことばありがとうございます。大変励みになります。

おじゃまします。
まずは、おかえりなさい。
さばも、アジも鮮度が命、関アジ・・・良いですね~
それに、お酒も加わり・・・たまりませんね。

田中氏は、現状からして、比較的公平に見れる立場のようですね。
だから、結構客観的に書かれてるのかな・・・
それにしても、堀江氏は、やっぱり好きになれませんよ。
事件の内容はどうあれ、トップのやる事は、責任をとるのが仕事、それだけリターンも大きければ、リスクも大きいと言う事を分ってるんでしょうか?・・・きっと、分ってないでしょうね。
拘置から出たときは、『まぁ、やつれちゃって』って思ったものです・・・がこの前久々に見て『元に戻ってるがな』って1人突っ込みしちゃいました。しかも、相変わらず、往生際が悪い事
現状、人の上に立っちゃいけない人ですね。
亀井氏も嫌いですけど、日本を背負って貰わなくて、ホント良かったってつくづく思いますよ。

こんにちはー!先日はコメントありがとうございました。実はまだ直っておりませんが、漫画喫茶で閲覧させていただいております~。
ポチッと押してかえります!

記事を読みながら「なるほど~~」と唸ってしまいました。
じっちゃんさんのレビューは詳しい且つわかりやすいので、すっかり自分で本作品を読んだ気にすらなっています(^^ゞ

以前勤めていた会社で、景気がいいと「会社>監査法人」になり、影が差し始めると「会社<監査法人」の力関係になりがち・・・と感じたことがあります。
どちらが下手に出るということでなしに、対等であるべきとされる理想が当然守られる会社がいいなぁと思った次第でした。

たまの猫さん、まいどです。
>それに、お酒も加わり・・・たまりませんね。
たまりませんでしたぁ。

>きっと、分ってないでしょうね。
まったくです。堀江さんは「僕は何も知らなかった」と
言ってるらしいですけど、それってトップのとる態度じゃ
ないですよね。その点だけでもホリエモンは失格です。

ひだまりねこさん、パソコン故障の中コメントありがとうございます。
涙出るです。

>ポチッと押してかえります!
ありがとうございます。今見たら、何と1位でした。
そりゃ、いつかはと思ってましたが、こんなに早くなれるなんて
信じられないです。
でも、よーく考えると、ランキングがどうのこうのより、
皆さんからコメントをいただいてそれに答えるのが、一番の幸せですね。

doborinさん、おいでやすー。
>じっちゃんさんのレビューは詳しい且つわかりやすいので、
>すっかり自分で本作品を読んだ気にすらなっています(^^ゞ
ありがとうございます。そういっていただけると、また書くぞって気になります。

>以前勤めていた会社で、景気がいいと「会社>監査法人」になり、
>影が差し始めると「会社<監査法人」の力関係になりがち・・・
>と感じたことがあります。
ですか。ですよね! 

>どちらが下手に出るということでなしに、対等であるべきとされる理想が
>当然守られる会社がいいなぁと思った次第でした。
です、です。自分の今いる会社はその辺信じられます。
だからこそいまだにいるんですけどね。

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