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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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ご本人が書かれた『夜回り先生』を読んでみた


以前コミック版の『夜回り先生』(土田世紀)についての記事を書きましたが、その後「夜回り先生」についてもっと知りたいという気持ちが強くなり、「夜回り先生」自らが書かれた原作の方を読んでみました。

読んでみて、水谷先生はやっぱり立派な方だなという思いを新たにしました。見も知らぬ少年少女を暴走族や暴力団から身体を張って守り。虐待する親から引き離して施設にいれ、就職を世話し。世話になった先生を裏切る子供を大きな愛で許し。救いの手を拒否する少年を根気よく説得し、根気よく話を聞き。福祉制度もよく知らぬ少年のために生活保護の手続きをしてあげ。

どれひとつとっても私にはまねのできないことばかりです。頭が下がります。水谷先生のおかげで救われた少年少女は少なくないといわれます。現にブログめぐりをしていると、水谷先生に救われたと先生を神様のように思っておられる方がいたりします(※)。

※そもそもコミック版『夜回り先生』を読もうと思ったのも、そうしたブログを読んだことがきっかけでした。

でも(改めて、イヤなヤツだな、俺って)、読み物としてこの本を見てみると、欠陥が目立ちます。

--------------------
まず、ひとりの少年少女の物語に割く紙幅が少なすぎます。全部で200ページ弱の中に24のお話が詰め込まれています。ひとりあたり平均約8ページです。しかも、写真は多いし、字は大きい。どうしたって書き込み不足になります。少年や少女がなぜそういう非行に走ったのか、その背景も、水谷先生の救いの手によってどのように立ち直ったのか、その経緯も理由も、細かいところがよくわからず、読んでいてもどかしく思われます。そういう枝葉はあえて切り落としたのかも知れませんが、読者としてはそういう枝葉を知りたいのです。そういう細部が書き込まれていないため、言い過ぎをあえて承知で言うならば、彼らが簡単に非行に走り、そしてあっさりと立ち直ったようにしか見えないのです。

次に。水谷先生はとても文章がお上手です。それは欠陥じゃないだろうと思われるでしょうが、そのお上手な、抒情的ともいえる文章が内容にそぐわないのです。より正確に言うならば、この本をノンフィクションと捉える私がノンフィクションに期待する文章とは違うのです。この本を読んでいるとノンフィクションというより、リリカルな小説ないしは詩を読んでいるような気がしてきます。ノンフィクションとしての透徹した目、リアリズムを追及する意志が感じられないのです。もっともこのスタイルは著者が意図的に狙ったものなのかもしれません。ならば、私の期待するものと著者の狙いとが違うというに過ぎないのでしょう。

土田世紀さんのコミック『夜回り先生』に感じた違和感は結局、この原作そのものが持っている特質だったということになります。

結局、水谷先生は立派な方だが、その水谷先生が書いた著書は面白くないというのが結論です。誰か水谷先生以外のノンフィクション・ライターが書いた「夜回り先生」を読んでみたいものです。

【じっちゃんの評価:★】

P.S.以上のような理由でこの記事の分類は"Nonfiction"ではなく"Essay"としました。

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COMMENT

こんばんは

私が読んだ彼の著作は「ドラッグ世代」という本でしたが
読んだのはだいぶ前なので感想は忘れてしまいました。
ただ、さほど響いてくる感じの本ではなかったと思います。
まぁ私は彼の思想があまり好きではないからかも知れませんが。

と、前回の返事も。
読了した三津田氏の本は「凶鳥~」と「蛇棺葬」、「百蛇堂」です。
前の2作はレビュー済み、百蛇~は近日中に記事アップ予定です。
個人的には「百蛇~」は「厭魅~」よりも怖かったですよ^^

厳しいですね。
というより、分析的な批判さすがです。

この方の本はまだ読んでいないので、なんともいえないのですが…。
最近の著者の一貫性のない行動には疑問符です。
そのためか、読むつもりが後回しになってる状態ですね…。
じっちゃんさんの感想をよむと・・・
さらに後まわしになりそうな予感です

シンさん、junn-41334さん、いらっしゃいませ。

おふたりとも(特にシンさんは)、水谷先生の思想や行動そのものに疑問が
おありのようですが、私は水谷先生そのものには批判的な考えは持っていません。
少なくとも批判的になるだけの材料は持っていません。
むしろまだ彼の行動には尊敬の念を持っています。
今回批判したのはあくまで作品としての『夜回り先生』です。
それもノンフィクションとして見た場合の批判です。
ただ、私の違和感のそもそもの原因は、本文にも書いたように、
この作品に対する私の期待と著者がこの作品を書いた意図との間に
ずれがあるからだけに過ぎないのかもしれません。

シンさん>読了した三津田氏の本は「凶鳥~」と「蛇棺葬」、「百蛇堂」です。
>前の2作はレビュー済み、百蛇~は近日中に記事アップ予定です。
シンさんのブログのコメントにも書きましたが「凶鳥~」のレビューは見落としていました。
失礼いたしました(シ_ _)シ
>個人的には「百蛇~」は「厭魅~」よりも怖かったですよ^
ひゃあ、そうですか。読むのが楽しみ~。
ミステリはミステリなんですか?

お久しぶりです。

じっちゃんさんのレビューだと
水谷先生は、書かれるより話されるほうが良いみたいですね・・・
講演の模様をTVで拝見した時は、朴訥した話の中に体験された
リアルさがひしひし感じて『じ~ん』ってきましたよ。

たまの猫さん、完全復活ですか!

水谷先生のお話は聴いたことがないですが、
そうでもあろうかと想像されます。
お書きになった本はちょっと気取りすぎていて、
残念ながら僕の感性に合いませんでした。
先生のお話を聴く機会があったら聴いてみたいと思います。

>ミステリはミステリなんですか?
「蛇棺葬」と「百蛇堂」は完全に連続した作品です。
で、「蛇棺葬」は一応はミステリで、
「百蛇堂」はミステリ色はあるものの
私個人としましてはホラーであると思います。

シンさん、ありがとうございました。
私はミステリ大好き人間で、ホラーそのものにはさして興味はないので
ちょっと困ったな。まずは「蛇棺葬」を読んで考えますかね。

コメントたった今拝読しました。 いつも有難うございます。

ホントに朝お早いんですねぇ~!

ところで、水谷先生の様な教師はいなくなりましたよね。 私たちの中学時代は旧友10人くらいで日曜になると恩師のお宅にお邪魔して普段出来ないお喋りを楽しんだり、といった交流がありました。

>>>>>ひとつとっても私にはまねのできないことばかりです。頭が下がります。

「偉いなぁ、 鼓舞されるなぁ、でも私には出来ないなぁ」 そういう本が私の好み。 読んで感動出来る本。 動かされるのは心だけで情けない話ですが。


それにしてもじっちゃんの読むスピード、 驚異的ですね。
毎日更新なさってるでしょ?!
とっても真似できません。

梓の小鳥さん、おはようございます。

>ホントに朝お早いんですねぇ~!
私はかなり前、仕事で英語が必要になった時、英語の勉強をするために
早起きするようになりました。理由は単純で夜は晩酌をしてしまうため
勉強にならないので(;^_^A  
(勉強のためにお酒を犠牲にすることはできませんでした)

それ以来夜は早く寝て(9時前後)、朝は早くから(3時~5時の間の自然に目が覚めたときに)
起きて勉強をする(英語とか資格取得とか)生活を続けてきました。

今は英語も必要としなくなりましたし、取りたい資格も取ってしまったので、
こうしてブログをしているわけです(;^_^A

>それにしてもじっちゃんの読むスピード、 驚異的ですね。
いえいえ、本は一週間に2,3冊程度です。
その合間をラーメンの話やまんがの話で埋めている状態です。
私はなんというか貧乏性で、更新しないと後ろめたさを感じてしまって。
あんまりこういうのよくないですね。
これからはもう少しのんびり行きたいと思います。

おはよです^^

一応ホラーとしましたが、もちろんミステリ調でもあります。
私としましてはあくまでホラー調が強いと感じたということでして。
実はこれけっこう重要であんまり書くとネタバレしてしまいそうで
あれだったりするんですよね(^^;

シンさん、補足コメントありがとうございます。
>あれだったりするんですよね
あれだったりするんですか。
それは聞かないほうがよさそうですね。
自分で確かめましょう。

>>>更新しないと後ろめたさを感じてしまって。

とってもよく判る気がします。
とってもじっちゃんの真似は出来ませんが気持ちとしては同じなんですよ。

>>>あんまりこういうのよくないですね。
これからはもう少しのんびり行きたいと思います。

いえいえ、決してスローダウンはなさらないで下さいね。
こんなにファンが多いんですから・・・

梓の小鳥さん
これからもせいぜいがんばりま~す。
ご声援ありがとうございます。

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