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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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道尾秀介さんの最新作『シャドウ』を読む


『邪魅の雫』を読み終わったので、飛びつくようにしてご贔屓作家・道尾秀介さんの最新作『シャドウ』を読みました。『邪魅』が二週間かかったのに対し、こちらは二日間で読み終えました。私の読書スピードから行けばほとんど一気読みです。

処女作の『背の眼』から道尾さんのリーダビリティは目を見張るものがありましたが、その腕にさらに磨きがかかったようです。『背の眼』の時はごたついていた観のある文章も洗練され落ち着いてきて、さらに読みやすくなったように思います。

冒頭から少しずつちょっとした違和感のあるできごと("ちょっとした"ってのがいいんですよね)を積み重ねて、読者の心の中に、いや~な感じとでも言いますか、不安感とでも言いますか、そうしたものを挿入しながらサスペンスを盛り上げていくところは実にうまく、読者は容易に作者の術中にはまってしまいます。

しかも、上手にさりげなく読者をミスリードしていきます。ですから、途中で明かされる衝撃の事実に、文字通りがつんと頭を殴られたような気持ちになります。読者はある程度それを予想しているのです。「来るか、来るか」と待ち受けているのです。そこへ、思ったとおり来るのです。ただし、読者の予想だにしないタイミング、予想だにしない形で。

Windowsの機能を小道具として上手に使っているのも印象的です。

と、ここまでは絶賛のような形になりましたが、ここでこの作品に対する私の総合的な評価を言ってしまいますと、「面白いけれど納得いかない」です。

--------------------
途中まで、というか終盤まで「いい感じ」で進みます。同じく真備・道尾シリーズではない『向日葵の咲かない夏』が傑作だったので、あれに匹敵する作品になるのではないかとの期待が盛り上がります。『向日葵~』の曲者変化球ぶりと比べると少しストレートすぎる感じもしますが、『向日葵~』は奇跡的な傑作ですからね、あれと比べてはかわいそうです。

しかし、その「いい感じ」は最後の種明かしで、残念ながら、消し飛びます。種明かしの内容はとても衝撃的ではあるのですが、その一方でまったく納得性に欠けるのです。ひとつかふたつ納得できないものがある程度なら、私も不満をぐいと呑み込んだかも知れませんが、そうではなく納得できない点があまりに多いのです。しかも、非常に重要な点で。

どこがどう納得いかないか書いてしまうとネタバレにならざるを得ないので、いちいち書けませんが、少しほのめかしてみます。

<<以下ネタバレまでには至っていないと思いますが、説明の都合上若干プロットに振れているところがありますのでご注意ください>>







例えば、最初の事件の動機、納得いきません。ある登場人物の奇妙なふるまい、その理由があんなことだったとは、これも納得いきません。その他にも登場人物の行動原理に納得いかないものがいくつかあります。

さらに。この作品には一種の叙述トリックが使われています。最後に種明かしされた時に、えっと思って読み返してみたのですが、これはどう見てもアンフェアでしょう。

作者は読者を驚かそう、ミスリードしようとするあまり、ちょっと強引な手法をとりすぎたような気がします。もうすこし穏やかで、不自然でないやり方でも読者はだまされたのではないでしょうか。ミステリーの読者はだまされることを望んでいるのですから。

【じっちゃんの評価:★★】

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COMMENT

次の次の次くらいに読む予定の本です。
よって、続きを読む~のは、あとにさせていただきます(ぺこり)
手に取ったとき、装画にちょっとひいちゃいました(^^;)

>よって、続きを読む~のは、あとにさせていただきます(ぺこり)
読むご予定があるなら、僕の下手なレビューなんぞ読まないのが
賢明です(;^_^A
>手に取ったとき、装画にちょっとひいちゃいました
言われてみればちょっと気味悪いですね。

>僕の下手なレビューなんぞ読まないのが
>賢明です(;^_^A
いえいえ、そういう意味じゃないのですーー。
道尾さんは自分の中で評価がさだまっていない
作家さんなので、真っ白な状態で読むのがいいかと、
そう思っただけなんです。
じっちゃんさんのレビューを読みたい気持ちは
すごーーーくあるんですよ!

>いえいえ、そういう意味じゃないのですーー。
ごめんなさい。僕の韜晦した書き方で誤解を与えてしまいましたね~。
「僕の下手なレビューなんぞ」というのは冗談っていうか
謙遜ていうか。ともかく、のばらさんのコメントについてうれしくはあっても、
イヤな気持ちはまったくなく...。
文章って難しいです。ごめんなさい。

失礼します^^

おむすび←娘
秀ちゃん←従兄弟
の隊長です。
愛知にてメーカー勤でSEしてます。

オカンのブログ見てじっちゃんさんのことは一方的に知っていました。
お母ちゃん同様ミステリ好きなので、ここいらでコメントなんぞしてみようかな、と^0^

仕事は忙しいけど、本は週1~2冊くらいは読みます。
マンガも同じくらい読みますけど。
主に読む作家は宮部みゆき、伊坂幸太郎、東野圭吾、乙一、林真理子、秀ちゃん、気が向いたら田辺聖子、梨木香歩、その他ジャケ買いですね。
(こう書いてみたら見事に売れ線ばかりですね~^^; 舞城王太郎とか斉藤綾子とか変なのに走ることもあるけど)

さて、、秀ちゃんの4作目(厳密に言えば5作目かな。片目の猿があるし)のシャドウ。私も読みました。
一気読ませてくれるのは毎度のこと。
そういう意味では伊坂幸太郎とかとも引けをとらないかも。(言いすぎ??(笑))
じっちゃんさんの言うとおり、確かに後から考えると納得いかない点もありますね。。
でも私はトリックとかがきっちりしていなくても---SEのくせに右脳人間なので---なんとなく雰囲気的に合点が言っていればOKなタイプ。
なもんで、それほど気にならなかったのかも。
それよりも後読感を優先させるほうなので、切なくて、でも少しあったかい気持ちに、なれた今回の作品は好きでした。
なんで、犯人が分かった時「ホッとした」んですよ。実は。
それに引きずられて「納得いかない点」は見過ごしちゃった(笑)。


雰囲気で一気に読ませる系に弱い私は真備シリーズより好きかもでした。

とにかく、秀ちゃんにはこれからも注目してます。
じっちゃんさんもよろしくです。
と、この↓本人のコメント、知ってました?向日葵~についてです。
http://www.tsogen.co.jp/web_m/michio0610.html

んんん!

なるほど、よくだましてくれたなあ!よくここまで考えるなあ!の
奥のほうに隠れてたなんとなく気持ち悪い感じをいいあててくれたような
書評ですね。
こういう評は作家にとっても勉強になることでしょう。
息子の誕生日会で久しぶりのワインにうとうとしてしまってる間に
隊長に先をこされちゃった・・・
ここまできてるのか。おいおい。

隊長殿!

隊長殿、初めましてであります!
自分も隊長殿のことはおむすび殿からお噂はよくお聞きしていたであります。
ご訪問いただき光栄であります。

>愛知にてメーカー勤でSEしてます。
大変なお仕事をされていますね。
私の周りにもSEはごろごろしておりますので、大変さはよ~くわかります。
その中で週1~2冊読まれるとはりっぱです。
なお、うちの会社も愛知(名古屋)に支社などがありますので、
私もたまに行くことがあります。

>主に読む作家は宮部みゆき、伊坂幸太郎、東野圭吾、乙一、林真理子、秀ちゃん、
>気が向いたら田辺聖子、梨木香歩、その他ジャケ買いですね。
この中で私がよく読むのは宮部みゆき、東野圭吾、秀ちゃん(;^_^A 、ですね。
(宮部さんは最近ご無沙汰してますが...)
伊坂幸太郎、田辺聖子、乙一、そして舞城王太郎はそれぞれ一冊ずつのみです。

>さて、秀ちゃんの4作目
>一気読ませてくれるのは毎度のこと。
これは私もまったく異論はございません。
道尾さんのストーリーテリングのうまさはすばらしいです。
>犯人が分かった時「ホッとした」んですよ。実は。
たしかに、これは私もそうでした。
>それに引きずられて「納得いかない点」は見過ごしちゃった
残念ながら私は「納得いかない」方に読後感も引きずられてしまいました。
読者としては確実に私の方が不幸ですね。

>秀ちゃんにはこれからも注目してます。
私もです! 道尾さんの作品はすべて読むつもりでおります。
(今まで全作品を読んだ作家はないので、道尾さんを初めての例にしよかと
野望を抱いているのであります)

>と、この↓本人のコメント、知ってました?向日葵~についてです。
>http://www.tsogen.co.jp/web_m/michio0610.html
読ませていただきました。道尾さんのコメント「深いことは考えず、
ただただストーリーに身を任せていただければ幸いです」とは違うことを
していたじっちゃんでした。やっぱり不幸な読者です。
向日葵については本文に書いたように大傑作だと思っているので、
ここにかかれていた批判などは、「へえ、そんなこと言う人いるんだ」って感じですね。

隊長殿、今後もおむすびさん同様、よろしくお願いするであります。

ありがとうございます

おむすびさん、ありがとうございます。

>なるほど、よくだましてくれたなあ!よくここまで考えるなあ!の
>奥のほうに隠れてたなんとなく気持ち悪い感じをいいあててくれたような書評ですね。
恐縮です。実はおむすびさんの目に触れるのは確実なので、批判的なことを書くのは
びくびくものだったんですが、正直に書かないと返って失礼と気を奮い立たせまして。
ご理解いただいてほっとしております。

>こういう評は作家にとっても勉強になることでしょう。
恐れ入ります。ますます恐縮です。

>息子の誕生日会で久しぶりのワインにうとうとしてしまってる間に
>隊長に先をこされちゃった・・・
隊長殿にご訪問いただいて光栄であります。
(いい娘さんですね。文面からそれがわかります)

>ここまできてるのか。おいおい。
今後もお越しいただきたいです。

はじめまして。
『シャドウ』おもしろかったです~。
私もいい意味で裏切られました♪

かつきさん、はじめまして。

ブログ拝見させていただきました。
更新頻度がすごいですね。
あれはリアルタイムで読んだものだけをレビューされているんですか?
だとすると驚くべき読書量ですね。

TBさせて頂きましたあー。

一読しかしてないのでそれほど納得行かない点はなかったのですが、それでもいくつかはあります。読み返せばいろいろ出て来そうですね"(^^;"。
アンフェアな叙述トリックと言うと、どの辺でしょうかあ?

たかさん、おはようございます。

>それほど納得行かない点はなかったのですが、
トリックとかそういう技術的なことではなく、
人間の行動原理とかそういう点で納得がいかない点が多かったです。

>アンフェアな叙述トリックと言うと、どの辺でしょうかあ?
主人公の父親の描き方だと思いますが、
詳しくはもう覚えてません(;^_^A
本ももはや手元にないので確かめられない。

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シャドウ

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