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時代小説作家として知られる南條範夫のミステリー『からみ合い』を読みました。(残念ながら画像はなしです。)

購入したのはかなり以前なのですが、発表年が1959年(昭和34年)と古く、またあらすじを読むと自分の好みとは若干ずれていることもあり、傑作との呼び声も高いにかかわらず、ずっと積ン読状態になっていたものです。

『邪魅の雫』『シャドウ』とご贔屓作家の作品を二つ読んだところで、今度は何を読もうかと書棚をサーチし、気まぐれにこの本を選びました。

癌にかかって死期が近いことを知った裕福な会社社長が、相続者を探して部下や顧問弁護士などに、4人の隠し子探しを申し付けるところからこの物語は始まります。巨額の遺産が絡みますので、4人の隠し子、その隠し子を探す人々、社長の妻、さらには社長自身の思惑がからみ合って物語は進みます(このあたりが題名の由来でしょう)。それぞれが自分の取り分を多くしようと策略をほどこし、騙し騙され、狸の化かしあいが繰り広げられます。この騙しあいそのものと、最後に笑うのは誰かというのがこの作品の読ませどころです。

作者の筆は滑らかで、文章も思ったより古臭くありません。物語のテンポも早く、意外な展開も随所に織り込まれているため、すいすいと読めます。

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でもでも、騙しあいのスケールが小さいというか底が浅いというか、うなるようなものがないんですよね。もっとも手の内をすべて読者に見せてしまっているので、そのせいで読者からすると驚きが少ないのかも知れません。少しだけ手の内を隠しておいて、後からそれを披露して登場人物と一緒に読者も驚かすという手法をとった方がよかったかもしれません。

それと、社長の専造をもう少し活躍させてほしかったな。せっかく癌で死期が間近いという、最強の「背水の陣」がひける立場なんだから、もう少しでたらめをやって欲しかったと。

ラストも、やっぱりね、そうだろね、という感じで驚き感がいまひとつ。もっとも、作者は読者を驚かすことよりも、最後に笑った者のワルぶりやしたたかさを描くこと、それにより読者に逆カタルシスを与えることに力点を置いていたのかも知れませんが。

って、こうしてレビューを書いているうちに気づいたんだけど、作者はカトリーヌ・アルレーを相当意識しているんではなかろうか。アルレーの代表作『わらの女』はこの作品に先立つこと3年前の昭和31年に発表されているし。

【じっちゃんの評価:★★】

<<蛇の足>>
にしても、社長の遺産総額が6,700万円というのも時代を感じさせますね。今でも大金ではありますが、びっくりするほどの金額ではないですからね。今の価値に換算したらいくらなんだろう? あるデータによるとこの本が書かれた昭和34年と今では物価はざっと10〜20倍とのことなので、これによれば6億円〜13億円というところでしょうか。これなら熾烈な相続争いになっても仕方ないかもね。


実は今、南條範夫の『駿河御前試合』を読んだり読まなかったりしているところです"(^^;"。
【2006/10/20 01:24】 URL | たか@ヒゲ眼鏡 #mQop/nM.[ 編集]
たかさん、いらっしゃい。
『駿河御前試合』は有名な作品ですね。
といっても私は読んだことないですが(;^_^A
というか、南條範夫さんの作品を読むのはたしか今回が初めてです
【2006/10/20 02:49】 URL | じっちゃん #4o1CV0zs[ 編集]














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