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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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本を巡るミステリ『配達あかずきん』


北村薫が創始した「日常の謎」系ミステリ(※)については、これまで私は熱心な読者ではありませんでした。なぜと言われても「うーん」となってしまいますが、なんかあのパステルカラーを思わせるフンワカした雰囲気(←どういう雰囲気だ?!)がイマイチ肌に合わないんですかね。読めばそれなりに面白いし、キライってわけでもないんですが。
 ※殺人などの大事件ではなく、普段の生活中に転がる
   ささやかな謎を扱ったミステリ。 北村薫・加納朋子・
   光原百合等が有名。(はてなダイアリーの定義によ
   る。じっちゃん注:若竹七海もですね)

この『配達あかずきん』も「日常の謎」系ミステリで、空犬さんのご推薦がなければ、そして本屋をテーマにしたものでなければ、手に取らなかったかも知れません。

物語りの舞台は駅ビルの6階にある書店「成風堂」。そこのしっかりものの店員・杏子と、少しドジだけど洞察力がすごいアルバイトの多絵のコンビが本を巡る「日常の謎」を解いていきます。この「本を巡る」というのが本好きにはたまりません。

この作品は全5話からなっています。そのうち最も「本を巡る」謎っぽい3話を取り上げ、「本を巡る」謎がどんなものかご紹介しましょう。

--------------------
①入院中の患者から頼まれた本を探し求めて成風堂を訪れた客。言葉が不自由な患者が口にした、書名を示すヒントはまるで暗号のようだった(※)。杏子と多絵はその暗号のようなヒントをもとに本を探すが、その結果裏に隠れたある事実が明らかになる(「パンダは囁く」)。
 ※この暗号は多絵が謎解きをする前に私にも解けました。本好きなら解けなくっちゃね。

②普段コミックなどには縁のない馴染みの女性客がなぜか大和和紀の『あさきゆめみし』(源氏物語をまんが化した作品)を買い求めた後、失踪する。20年前に轢き逃げに会って亡くなった息子にまつわる謎の手がかりが得られたらしい。そして、息子の遺品の中にあった、ノートの切れ端に書かれた達筆な万葉集中の和歌(これがタイトルになっています)。そんなわずかな手がかりと、失踪した女性客の娘の話をもとに女性客の失踪の理由と失踪先を突き止めていく(「標野にて 君が袖振る」)。

③病院から退院したばかりだという若い女性客。実家の母親が折にふれ本を差し入れてくれ、おかげで退屈を紛らすことができたばかりか読書の楽しみを知ったという。その5冊の本はすべて成風堂の店員が見立ててくれたとのことで、その店員にお礼を言いたいのだが、店員の名前はわからない。5冊の本の書名をもとに杏子と多絵は店員を探し出す。そして・・・・(「六冊目のメッセージ」)。

どうですか。本好きな方、ワクワクしてきませんか。読みたくなっちゃいませんか。だったら読みましょうよ。期待は裏切りませんよ。

ミステリとしてもなかなかの出来です。わずかな手がかりから謎を解きほぐし、意外な真相を明らかにしていく多絵の推理力は見事で、謎が一枚一枚はがれていく過程はもう快感です。

こうした「本を巡る」謎の面白さもさることながら、登場人物のいきいきとしたキャラと、ハートウォーミングなお話の展開も魅力です。特に「標野にて 君が袖振る」と「六冊目のメッセージ」のラストはじ~んときます。5作の中からベストを選ぶとしたらこの2作のいずれかになるでしょう。

表題にもなっている「配達あかずきん」は、ミステリとしての結構が最も整っている作品で、この作品だけ物語が書店の外へ飛び出し、その分ダイナミックな展開が楽しめます。ですが、残念なことに、登場人物の行動やトリックに不自然さが感じられ、私としては5作の中で最も評価が低くなってしまいます。ミステリらしいのが逆に災いして、ミステリファンにとっては突っ込みどころが多くなってしまっているんですね。

そうそう、私が「日常の謎」系ミステリに感じる違和感はどうなったか。残念ながらそれはこの作品にもありました。なんていうんだろうな、出てくる人が皆(一部の"あちら側の人"を除いて)非の打ち所のないいい人ばかりで。しかも、皆がみなとても上品なんですよね、話しっぷりといい振る舞いといい。

会話のシーンを読んでいると、TVのホームドラマで、非の打ち所のない明るい家族が、食事中に親子で冗談を言い合って、全員が声を揃えて「あハハハハハ」と笑い合っているシーンを見るような居心地の悪さを感じてしまいます。そう感じる私の方が人が悪いのかなあ。なんか、こう書いてて、ないものねだりをしてるような気になってきました。これが「日常の謎」系ミステリのテイストなんだろうし。

【じっちゃんの評価:★★★】

蛇の足
「パンダは囁く」にミステリ作家の○○○○○と×××××(名前は特に伏す)が好きな、杏子の友人が出てきて(話の中だけですけど)、ミステリファンをにやりとさせます。

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COMMENT

さすがです

やはりミステリ読みの方の紹介は違いますね。
このタイプが、「「日常の謎」系ミステリ」と言われているのも知らずに、書店ものというだけで手に取った当方と違って、作品の魅力がうまく紹介されていて、すすめたこちらがなるほどと参考にさせてもらってる次第です。長編のほうは未読ですが、そのうちに、と思っています。

日常の謎系ミステリ、私は結構好きです。
のんびり読めるというか、ハードな殺人事件がないものを読みたいときなどに良いです。
『配達あかずきん』は本好きには楽しい内容ですね。
>この暗号は多絵が謎解きをする前に私にも解けました。
えっ、私わからなかった(^^;)アレを意識したことなかったので。

じっちゃんさんが日常の謎系ミステリに感じられる違和感。わかる気がします。
他のジャンルでもそれを感じるとなんだか醒めてしまうときあります。
私も悪いひと?(^.^)

空犬さん、のばらさん、どもです。

v-34 空犬さん
>やはりミステリ読みの方の紹介は違いますね。
ですか。照れるなあ(#^.^#) エヘッ

>このタイプが、「「日常の謎」系ミステリ」と言われているのも知らずに、
ミステリ好きでないとそうでしょうね。

>すすめたこちらがなるほどと参考にさせてもらってる次第です。
(〃⌒ー⌒〃)∫゛ カァー

>長編のほうは未読ですが、そのうちに、と思っています。
もう販売されたんですか? なら読まなくちゃ。

v-34 のばらさん
>日常の謎系ミステリ、私は結構好きです。
私もキライってわけじゃないんですけどね。
北村薫さんの本が積ン読になってるので、今度読んでみます。

>『配達あかずきん』は本好きには楽しい内容ですね。
同感!

>>この暗号は多絵が謎解きをする前に私にも解けました。
>えっ、私わからなかった(^^;)アレを意識したことなかったので。
私はアレってなんだろうなって結構意識してましたので。

>じっちゃんさんが日常の謎系ミステリに感じられる違和感。わかる気がします。
ですか。よかったあ。

>私も悪いひと?(^.^)
かも。

こりゃ読まなきゃ。

のばらさんのところで読んで、「いいなあ。読みたいけど今「包帯クラブ」中だし・・・」と躊躇してました。

こりゃ読まなきゃね。
ここんとこ、「陽気なギャング2」とか、「破裂」とかいろいろ読んで今天童荒太。でも買っとけばその次読めるし・・・
ブログに感想かく間もないけど、読むだけでもいいですよね。

>のばらさんのところで読んで、「いいなあ。読みたいけど
>今「包帯クラブ」中だし・・・」と躊躇してました。
のばらさんのところに行っていただいてありがとうございます。
とっても上品ないいブログですよね。

>こりゃ読まなきゃね。
読んでください!

>ブログに感想かく間もないけど、読むだけでもいいですよね。
いいです!

こんばんは^^

ふむふむ、本を巡るあたり本好きとして面白そうですね。
ただ非の打ちどころのない明るい家族たちのようなキャラってのは
どうにも物語として物足りなさそうですが・・・
私はかなり居心地悪くなる人間なものでして(・д・;
と、ココログツール集に検索はなかったのですが
同じようにココログを使ってる人で検索機能つけてる人のブログから
無事検索機能をつけることができました^^
初めてHTMLとやらが少々難しかったですが。

シンさん、いらっしゃいませ。

検索機能つけてくださったんですね!
先ほどブログ訪問させていただきましたが、
過去記事を探すのが大変楽になりました!
勝手なお願いを聞き届けていただいてアリ\(*^▽^*)/ガトゥ

>ふむふむ、本を巡るあたり本好きとして面白そうですね。
>ただ非の打ちどころのない明るい家族たちのようなキャラってのは
>どうにも物語として物足りなさそうですが・・・
>私はかなり居心地悪くなる人間なものでして(・д・;
私の場合は居心地の悪さよりも物語の面白さとハートウォーミングな心地よさがうわまわっていたので、それほど悪い評価にはなりませんでした。シンさんもお試しあれ。


おはよです^^

いえいえ、検索機能は前からずっとほしいなと思ってましたので^^
むしろそのキッカケをもらえてよかったです(^д^)

>ハートウォーミングな話
この手の話はけっこう好き嫌いが激しいんですよね。
とはいえ、じっちゃんさんおオススメかつタイトルが面白いので
記憶しておいて、いずれは・・・と考えております^^

>いえいえ、検索機能は前からずっとほしいなと思ってましたので^^
>しろそのキッカケをもらえてよかったです
そうですか。ではお役に立てたってことですね。

>>ハートウォーミングな話
>この手の話はけっこう好き嫌いが激しいんですよね。
ですか。なら、要注意ですね。

>とはいえ、じっちゃんさんおオススメかつタイトルが面白いので
>記憶しておいて、いずれは・・・と考えております
書店でちょっと立ち読みしてみるのもいいかもですね。

おむすびさん
じっちゃんさん
ありがとうございます。
上品とはほど遠い人間なのでお恥ずかしいです(;^_^A

>上品とはほど遠い人間なのでお恥ずかしいです
私がのばらさんのブログを最初に訪れた時の印象は
「上品で落ち着いた感じ」。
深窓のお嬢様がやっているのかと思いましたよ(笑
テンプレの影響もあるとは思うんですが(笑

マジメな話、僕が本や人やその他のものを評価する最も重要な基準は、
「品性」なんですよ。品性があるかどうかそれで好き嫌いが決まります。
ブログも私が惹かれるのは「品性」が感じられるものばかりです。

初めてお邪魔します!

じっちゃん様、皆様 ピットママと申します
一応、本好きなのですが54歳という年齢・・・つまり老眼と介護生活で
本を読む生活から遠ざかってしまいました (*^.^*)エヘッ
もっぱら映画とTVドラマで済ませています(;^_^A アセアセ
じっちゃん様のブログを拝見して面白そうな本が一杯紹介されているので、とても読みたくなってしまいました!いろいろやってみたい事はあるのですが限られた時間を上手く使いこなせないでいますよ~
こんなピットママですが、どうぞよろしく御願い致します

ピットママさん、ようこそ、このブログへ!
大歓迎です~( ^o)-o<パッパラッパ~~~♪♪♪♪♪♪

>一応、本好きなのですが54歳という年齢・・・
>つまり老眼と介護生活で本を読む生活から遠ざかってしまいました 
ダメです、遠ざかっては。読みましょうよ。
でも、介護生活というのは大変ですね。
うちはまだ両親が元気一杯なので、今のところは心配ありませんが・・・・
何ごとも義務感にやられてするのは詰まらないので、
本も読みたくなるまで待って取り掛かるのがいいのかもしれません

>じっちゃん様のブログを拝見して面白そうな本が一杯紹介されているので、
>とても読みたくなってしまいました!
私のブログが本を読むきっかけになってもらえればうれしいです。

>いろいろやってみたい事はあるのですが限られた時間を
>上手く使いこなせないでいますよ~
そんな~。ブログを拝見するとお上手に使われてますよ。
シュガークラフトも素敵でしたし。
そもそも100%完璧に時間をうまく使いこなすなんてこと
スーパーマンでない限りできないです。
僕も今日は午後いっぱいぐ~たら寝てしまって今頃後悔してます。
でも、人間なんてそんなもんです。

>こんなピットママですが、どうぞよろしく御願い致します
こちらこそ~♪

私もこれ 読みました~^^  
「パンダは囁く」の暗号、たしか私 解けなかったような覚えが・・・
まずいっ、 本当は 本好きじゃなかったのかもっ!
そして、蛇の足に書かれた、「パンダは囁く」のところ、読み落としてるので、もう一回見てみよう!と思います。

先日は、暖かいコメントをくださり ありがとうございました!
お陰様で、体調も回復いたしました。

ひさきゅ~さん、いらっしゃいませ~!

>お陰様で、体調も回復いたしました。
おめでとうございます! もしや?!

(ここで、ひさきゅ~さんのブログへ行き、コメントを書いて戻ってくる)
早くも記事書かれたんですね。
復活うれしいな♪♪♪♪Happy (ノ^^)乂(^^ )ノHappy♪♪♪♪

>私もこれ 読みました~^^
そうですか、うれしいな。
  
>「パンダは囁く」の暗号、たしか私 解けなかったような覚えが・・・
>まずいっ、 本当は 本好きじゃなかったのかもっ!
そうかも(笑)

>そして、蛇の足に書かれた、「パンダは囁く」のところ、
>読み落としてるので、もう一回見てみよう!と思います。
たいした話じゃありませんけどね。


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本格書店ミステリ?『配達あかずきん』を読んでみた

ぼくはミステリ読みではありませんので、新刊ミステリを本日記で取り上げることはまずないのですが、先日の日記で紹介した大崎梢『配達あかずきん』(東京創元社)は、「書店もの」ということですので、書店好きとしては取り上げ
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