プロフィール

じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
管理者ページ

カテゴリ

openclose

お気に入りブログ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

海堂尊の最新作『螺鈿迷宮』を読む


この本、5日前に読み終えていて早く感想を書きたくてうずうずしてたんですが、京都ネタが詰まっていたので、なかなか書くことができず、京都ネタが終わった今ようやく書けました。

『チーム・バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』で注目の作家・海堂尊の3作目にして最新作。前作からわずか2ヶ月で新作を出すわけで「大丈夫?」って思っちゃいますが、作者によれば「昨年の秋には、原型になる長篇が一応完成していました。それに大幅に加筆修正を行って、今回の作品が完成したんです」とのことです。つまりは『チーム・バチスタの栄光』が出る前には原型が完成してたってことですね。それなら、この出版の早さは納得できます。

前2作とタイトルのつけ方は違うし、登場人物は違うしで、別シリーズなのかなと思ってしまいますが、ご心配なく。白鳥はちゃんと出てきます。しかも、前2作では登場人物の会話にしか登場していなかった、最強の部下"氷姫"とともに。でも、白鳥、なぜか皮膚科の医者してるんですよね。その謎については是非本作をお読みください。

白鳥は出てきますが、主人公(語り手)は愚痴外来の田口先生ではなくて、同じ東城大学医学部の学生・天馬大吉。舞台も東城大学ではなく、前2作でも出てきた、東城大学とも関係の深い桜宮病院。ひょんなことから天馬大吉が桜宮病院に潜入して内情を調査することになることから物語は始まります。

読み終わっての感想は、いや~ここまでやるかって感じ。いえ、白鳥がじゃなくて、作者が。何か、ぶっ飛んじゃってます。

--------------------
1作目は端正なミステリだったのに、2作目でちょっとスーパーナチュラルなテイストが加わり、そしてこの3作目ではとうとう・・・・。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、綾辻行人の館シリーズの最新作を髣髴とさせるような・・・・(あそこまでぶっ飛んではいませんけどね)。処女作は賞を取るために手堅くまとめたけれど、ホントはこれが俺の書きたいものだって開き直った・・・・のでしょうか。

海堂尊の最大の魅力のひとつは登場人物のキャラが立っていることですが、この第3作目でもそれは健在です。キャラ立ちまくってます。

白鳥が戦う相手となる桜宮病院の3人(いや4人?)は迫力満点だし、天馬の幼馴染にして天馬を桜宮病院に送り込んだ張本人・別宮葉子、ヤクザの結城、病院の患者たちなどもうキャラ立ちまくり。特に、じっちゃんのお気に入りは、病院の患者だというのにとっても元気なトク、加代、美智の三婆トリオ。どこがいいかは、実際にこの作品を読んでいただきたく。

そして、忘れちゃならない"氷姫"。これには目を疑いましたよ。「これが、あのうわさの氷姫? マジ!?」って。何がって? それも実際に作品でお確かめください。

文章がうまいこと、ストーリー作りが巧みなことも前2作同様。その上に上記のような作者の思い入れが加わっている(?)のでパワー全開、ぐいぐいと読ませます。私は、この作品をいつものように通勤電車で読んでたんですが、この本にのめりこんで降りる駅に気がつかず乗り越してしまいましたよ。それも二度。一度なんか二駅乗り越してしまい、新記録樹立ですよ。

最初のうちは大した事件は起きず、天馬大吉の病院滞在記みたいな感じで特に大した事件も起きないのですが、これが読ませます。キャラが立ってるのもその大きな要因ですがそれだけではありません。

この作品、文章のタッチは軽く、ギャグ小説と言ってもいいノリなんですが、その割には一行一行に重みがあって、大げさに言うと一行ごとにワンダーがある感じなんですよね。文章の質感はまったく違うんですが、そこんとこ京極夏彦の作品とちょっと似てます。

そして、その中からじわじわと違和感のようなものが立ち上がってきます。天馬大吉の病院滞在記はあくまで明るいので、確(しか)とはわからないのですが、何かヘンだな~と思わせるものがあるんです。そこんとこの描き方がとてもうまいです。

その違和感がどんどん蓄積されてきて違和感としてはっきり感じられるようになってきた時に「待ってました!」と言う感じで白鳥が登場します。白鳥登場後も違和感はどんどん蓄積していってとうとう臨界点に達し・・・・爆発します。

最後の白鳥とXXの対決は迫力満点。京極堂シリーズにおける京極堂の憑き物落しを髣髴とさせる迫力です。そうそう「臨界点」に達して以後の白鳥はいつになくシリアスです。根は真面目なんでしょうね。

最後はある余韻を残して終わります。これもなかなかいいです。

この作品は、あの「ぶっ飛び」を受け入れられるかどうか、ミステリとしてどう見るかで評価が大きく分かれるでしょうね。私は今年度ベスト10候補の傑作と言っておきます。

【じっちゃんの評価:★★★★】

蛇の足
・作者は相変わらず泣かすのもうまいです。私も何度かぐっときました。
・東城大の面々もちょっとずつ顔を出します。お楽しみに。
・この作品の欠点
  ①吉本新喜劇みたいなコテコテギャグ(欠点じゃないかも)
  ②主人公の天馬が勇気あり過ぎ
・アマゾンのレビューは今のところひとつだけですが、イマイチの評価なので、反論の意味で
 久々に私もレビューを投稿しました。本記事作成時点ではまだ掲載されていませんが。
 ⇒今(12/11 20:15)見たら、掲載されてました。よろしければご覧になってください。
 ⇒ここをクリック。

スポンサーサイト

COMMENT

気になる

「チームバチスタの栄光」も気になるものでしたが、じっちゃんさんのレビューを読むと、これも気になる。
この海堂さんというひと、お医者さんなんですよね。たしか。
「破裂」とかはいまいち好きじゃなかったけど、
この人のはぜひ読んでみたいです。

おむすびさん、おはようございます。
>この海堂さんというひと、お医者さんなんですよね。たしか。
そうで~す。

>「破裂」とかはいまいち好きじゃなかったけど、
私も『破裂』読んだけど十数ページで放り投げました。

>この人のはぜひ読んでみたいです。
ぜひ。できれば『チーム・バチスタ』から。

この方の本は未読なので、読んでみたいです。  面白そう~

ぶっとんでいる という点も気になりますが、 氷姫がすっごく気になります。

あと、蛇の足の 「勇気ありすぎ」 の一言が なんだかおかしくて、笑ってしまいました^^

ひさきゅ~さん、どうもです。

>この方の本は未読なので、読んでみたいです。  面白そう~
ありがとうございます、そう言っていただけるとレビュワー冥利に尽きます。

>ぶっとんでいる という点も気になりますが、 氷姫がすっごく気になります。
でしょう。是非この作品で氷姫の正体をお確かめください。
ユニークな方ですよ。

>あと、蛇の足の 「勇気ありすぎ」 の一言が なんだかおかしくて、笑ってしまいました^^
あはは、そうですか!

こんばんは。
今回も個性豊かな登場人物たちがてんこもりで、
どんどん物語に引き込まれました。
氷姫はいい意味で私を裏切ってくれて、
なかなか愛すべきキャラだったなぁと思いました。
4月にもう次作が出るとか。
次こそっ!!田口センセがもっと出てきてほしいなぁ…

Rutileさん、こんばんは。
この作品を読んだ時「これは読者によって評価が分かれるだろうな」と
思ったのですが、アマゾンの評などを見ると案の定そうでしたね。
私は肯定派です。
ただ、氷姫については、愛すべきキャラだとは思うものの
予想していたイメージ(クールな切れ者)と大きく違い
「アレレ」という感じがありました。

次回作楽しみですね。

じっちゃん、おはよっ♪

>キャラ立ちまくってます。

ですね~\(^o^)/
特に姫宮。びっくりしました!

私は天馬大吉病院滞在記が、なかなかお気に入りでした。
やっぱり主人公が若いと、躍動感があっていいわね~なんて。

この作品、作者の思い入れが強すぎて、いろんなことを一緒くたにまとめてしまって、かえって焦点がぼやけた感じもありますし、「そこまでおどろおどろしくしなくてもいいんじゃない」という身もふたもないような感想もちょこっと持ったりもしましたが(^^;)

ラスト、引っ張りますね~。次回作が楽しみです♪

そらさん、おはようございます。

おっしゃるとおり天馬大吉病院滞在記はいいですね。
ちょっと大吉が勇気あり過ぎなのが気になりますが。

>かえって焦点がぼやけた感じもありますし、
>「そこまでおどろおどろしくしなくてもいいんじゃない」という
それもまったく同感です。
でも、まあ、そこがいいところといえばいいところかも。

>ラスト、引っ張りますね~。次回作が楽しみです♪
あれ、絶対次回作がありますよね。
楽しみに待ちましょう。

EDIT COMMENT

非公開コメント

TRACKBACK


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

螺鈿迷宮(海堂尊)角川書店

「螺鈿迷宮(海堂尊)角川書店」に関連するブログ記事から興味深いものを選んでみました。ぜひ、読み比べてみてください。 =2007年1月1日収集分= *...

『螺鈿迷宮』海堂尊

シェアブログ1152に投稿終末医療に関して筆者の思うところが、これでもかーーーーっと詰め込まれた感が否めません。ちょっとおなかいっぱいでゲップが出てきそう…デス…「死者の言葉に耳を傾けないと、医療は傲慢
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
全記事表示リンク
検索フォーム
コメント・TBについて

コメント・トラックバックをされる場合は注意事項をご覧ください。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。