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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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小泉改革の舞台裏-『構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌』


竹中 平蔵 / 日本経済新聞社 / 1890円
Amazonランキング:47位
Amazonおすすめ度:


政治の舞台裏を描いたノンフィクションや小説を読むのが大好きです。古くは戸川猪佐武 の『小説吉田学校』という大名作があります(あれは面白かったあ!)し、最近では(と言ってもちょっと前ですが)、石原都政の舞台裏を描いた大下英治の『石原慎太郎の「宣戦布告」』や石原慎太郎自身が自分の政治生活を振り返った『国家なる幻影』、小泉首相の郵政解散総選挙の顛末を描く『郵政大乱!小泉魔術』(大下英治)もかなり面白く読みました。また、米軍占領時代を含め戦争前後の政治の舞台裏で活躍した快男児・白洲次郎を描いた『白洲次郎 占領を背負った男』も胸のすく面白さでした。

そんな私ですので、小泉内閣の中で構造改革の中心となって獅子奮迅の活躍をした竹中さんのこの著書にはすぐ飛びつきました。

欧米では政治家が一線を退くと回顧録を出すのが当たり前になっていますが、日本では必ずしも一般化しておらず、しかも引退してからかなりの時が経ってから出版されることが多いのですが、さすが情報公開を身上とする竹中さん、早くも回顧録を出してくれました。小泉改革の記憶がまだ生々しい中でその裏話を読めるというのはありがたいことです。

そしてその内容は期待にたがわぬ面白さでした。

--------------------
小泉内閣が行ったさまざまな改革の中から、著者が直接携わった、不良債権処理を始めとする金融改革、郵政民営化、経済財政諮問会議の活性化の3つの改革を描いています。そのどれもが面白いですが、特に迫力のあるのは、やはり小泉総理のライフワークであった郵政民営化です。

抵抗勢力や官僚との争いは、現にそれを体験した人だけに迫力にあふれており、手に汗を握る面白さ。

そんな中で学者出身の竹中さんが意外にしたたかなのに驚かされます。例えば、道路公団民営化が完全な成功には至らなかった最大の原因が「審議会の運営を官僚に任せたこと」であったと分析し、郵政民営化では審議会の運営を総理直轄として竹中さんとそのチームで運営します。

また、私が最も感心したのが「戦略は細部に宿る」作戦。通常政治家は基本的な方針を定めたら、法案や具体的な施策作りは官僚に任せてしまいますが、そこに官僚のつけいる隙が生まれます。基本方針を曲げていない態を装いながらちょっとした文言や施策の挿入で法案や政策の実効性を弱めてしまう、あの有名な「骨抜き」作戦です。

竹中さんは基本方針を固めるのはもちろん、法案や具体的な施策作りまで官僚任せにせず自分とそのブレーンでやってしまいます(そのため官僚からさまざまな嫌がらせや妨害を受けることになりますが)。そして、官僚の常套手段の「骨抜き」作戦を逆手に取るというしたたかさまで見せます。つまり、妥協したフリをして答申案や法案にこっそりと重要な条項を盛り込んでしまうというものです。「骨抜き」ならぬ「楔差し」とでもいいましょうか。

こうしたことを含め、竹中さんは、過去の失敗事例・成功事例も分析しつつ、冷静に理詰めで論理的に作戦を組み立てて事に当たっていきます。さきほど「学者なのにしたたか」と書きましたが、「学者だからしたたか」と言い換えた方がいいかもしれません。

脂汗を額に浮かべながら抵抗勢力や野党、マスコミの執拗な攻撃に耐える竹中さんの様子をテレビで見ながら、私は「竹中さん大丈夫だろうか」とハラハラして見ていたのですが、その陰でこのようなしたたかさがあったとは知りませんでした。

そしてそれを支えたのが小泉首相。郵政民営化に取り組む竹中さんとそのチームを終始変わらぬ姿勢でバックアップし続けます。あちこちから攻撃を受ける竹中さんに対し「これでいい。このまま行け」と励まし、閣僚会議等でタイムリに発言して竹中さんを擁護するとともに、自らの断固たる姿勢を示す。郵政民営化の良し悪しは別にしてその一本筋の通って揺るがぬ姿勢とリーダシップは見習わなければいけません。

それにしても郵政民営化法案に対する民主党の対応はだらしないの一言に尽きます。郵政解散で小泉自民党が歴史的大勝をしたのもむべなるかなです。国民は実によく見ているものだと改めて感心しました。

あえて本書の難を言えば、郵政解散の裏舞台に関する記述が(それなりの面白さはあるものの)やや迫力不足なこと、それを含めて抵抗勢力の抵抗振りについてやや奥歯にモノがはさまったような記述が見られること。政治的・法的配慮や、ご自身の節度からくるものでしょうが、野次馬としてはちょっと物足りなく感じます。また、ご自分が取り組んだテーマではないので当然と言えば当然ですが、北朝鮮外交についての記述があまりありません。まあ、これらはないものねだりの類でしょうね。同時期に発売された飯島勲氏(小泉さんの首席秘書官)の『小泉官邸秘録』(現在読書中)に期待することにしましょう。

【じっちゃんの評価:★★★★】

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COMMENT

おじゃまします。

竹中さん色んな抵抗に合いながら
あそこまで、よく頑張られたと思いますよ~
ブレーンがいないって
マスコミはやたらと躍起になって言ってましたけど
なんだかんだとあそこまで漕ぎ着けたのは、
脇を固めてた人たちが居たからこそでしょうね。

飯島秘書官の本も読まれてるようで、
また、感想の記事をお願いします。
↑って人任せにしちゃって、自分で読めですよね。・・・(^^;A)

おこんばんわ、たまの猫さん、

竹中さん、ほんとよくがんばりましたよ。
この本読んでも一本筋が通ってますよ。
その筋がまたぶれないんです。
芯にしっかりとした信念があるんですね。
それにひきかえ信念などなく、
うまく政界を泳ぐことだけが目的のあきれた輩の多いこと。

>なんだかんだとあそこまで漕ぎ着けたのは、
>脇を固めてた人たちが居たからこそでしょうね。
そうなんですよ。小泉さん、基本原則を指示したら
あとは担当者に任せるんですよ。
もちろん、適宜指示はしますし、
難局に当たっては自ら出馬しますけどね。
それ以外は任せきります。
優秀な人たちが周りにいなければできないことです。
そして、竹中さん以外にも優秀な方が沢山います。
政治家はもちろん官僚にもね。
官僚は悪くばかり言われるけれど、
ちゃんと骨のある人もいるんです。
批判するマスコミなんかよりも豊富にね。

>飯島秘書官の本も読まれてるようで、
>また、感想の記事をお願いします。
よろこんで!
今週末には書けるでしょう。

こんばんは^^

この本ちょっと気になってたんですよね。
最近はちょっとアメリカからの圧力関係の本を読んでたので
竹中さんあたりは売国奴呼ばわり的、
構造改革は構造改悪な感じに思ってたりです。
実感として構造改革は改悪みたに感じてますしね。
バランスをとるためにこっちも読んでおかねばと思います。
金がないから無理っぽいですけど(-_-;)

シンさん、おはようございます。

アメリカの圧力説というのは郵政民営化についてですね。
これについては、本書で竹中さんはきっぱりと否定しています。

私も竹中さんの主張に与します。
アメリカが郵政民営化を望んでいたことは確かでしょうが、
だからといってアメリカの圧力によって郵政民営化が
行われたという説には二つの理由で反対です。

一つ目は小泉元首相は代議士になった直後から郵政民営化論者
だったこと。そこにアメリカの圧力があったとは思えないこと。

二つ目はアメリカの圧力があろうがなかろうが、あんなに巨大な
国営金融機関があること自体がおかしいこと。その資金の使い道は
特殊法人など官僚の甘い汁の源泉になっています。

アメリカ圧力説は郵政関係に権益をもつ郵政族と
自民党のやることは何でもかんでも反対という連中、
日本の国益に反することなら何でもありの共産党とそのシンパの
タメにする議論だと思います。

それに、なんでも反対する人はいるものです。
(そのこと自体は健全なことです)
竹中さんと小泉さんコンビが進めたもう一つの構造改革・
不良債権処理にも猛反対している人がたくさんいました。
しかし、竹中さんと小泉さんが断固不良債権処理を進めたことで
いまや銀行は甦り、日本経済もバブル後遺症から甦りました。
その結果が不良債権処理が正しかったことを裏付けています。

おはよです

アメリカの圧力というのは郵政民営化というか全体的な規制緩和の流れを指して書きました。
(上記した最近読んだ本は、教育や保険などに関する本でした)
この文脈では郵政民営化だと解釈してしまいますよね。すいません。

で、小泉さんが最初から郵政民営化論者だったこともそうだと思いますし、
基本的に私も郵便局が特殊法人や官僚の甘い汁の源泉になってると思ってたので
じっちゃんさん同様に郵政民営化には賛成という感じに考えてます。

ただ同時にアメリカがなぜ郵政民営化を望んでいたかを考えると、
これでよかったのかと悩んでしまうのですよね。
アメリカの狙いは1400兆円の日本の貯金ですよね。
これが資本主義だといえばそれまでだと思うのですが
現状のアメリカによるアメリカのための金融システムでは
どうにも結局はアメリカに搾取されるだけはないかと危惧しておりまして。
この金は借金大国日本のライフラインだと思うので大事にせねばと思うのですよ。

不良債権に関してはどうなんでしょうか。
割を食ったのは一般大衆や潰れていった中小企業だと思うのですよね。
様々なところに犠牲者をつくった処理がそんなに正しかったとは思えないでよ。
結果はもちろん大事ですがプロセスは重要だと思うのですよ。
正直バブル後遺症から立ち直った実感もないですし。
あと不良債権のかなりの割合にヤクザが絡んでたいう本を読みましたが
そのへんもまったくわからないままですし。

と色々と書いてみたものの、
これらに関しては私はまだまだまだ自分の知識が少なく意見に自信がないので
変なこと書いてるかもなのですいませんですm(__)m

政治の裏側を描いた小説やノンフィクション。当事者が亡くなって過去のことになっているようなものだと、読むのですが、最近のものだとあまりにも生々しい感じがして読んだ事がありません。でも、ニュースで見る裏での攻防(?)も面白そうかな、ってちょっと興味が(^.^)

シンさん、おはようございます。

このあたり、私とても専門家ではなく議論を展開するほどの能力はありませんが・・・。

政策決定プロセスに限らず、日本に対するアメリカの陰謀説と
いうのは昔から根強いですが、私はいくらなんでもと思ってしまいます。
他国にそんなに簡単にやられるほど日本の政治界、経済界がヤワだ
とは思いません。それに、アメリカもそりゃ自国の国益のために裏で
いろいろ工作しているのは確かかとは思いますが、陰謀というほど
悪辣なことをしているとも思えませんし、日本を思うがままに動かせる
ほどアメリカがパワフルだとも思えません。
もしアメリカの思うままに日本が搾取されているとしたら、
アメリカと同等あるいはアメリカを上回るくらいに日本が繁栄しているのが
不思議ですし。
それに小泉さんや竹中さんの言動を見ている限り、少なくとも
郵政民営化についてはアメリカの陰謀ではないと私は信じます。
アメリカ陰謀説など郵政族や、アメリカ嫌いのインテリが流している
デマだと私は思います。

もっとも、ご覧のように事実とデータに基づいた話ではないので、
あまり突っ込まないでくださいねm(__)m

不良債権についてですが、不良債権処理で一般大衆や中小企業が
犠牲になったとおっしゃいますが、不良債権をそのまま放置していたら
景気回復はおぼつかないどころか、間違いなくいくつかの銀行が破綻していました。
その時に一般大衆や中小企業にふりかかる災難は不良債権処理の
時の比ではないでしょう。
それに不良債権処理はいずれ必ずやらなければならなかったことです。
先延ばしにしていいことはひとつもなかったと思います。

不良債権処理によって景気回復した実感がない点については、
私は多少実感しているものの、それが弱いことは認めます。
ただ、景気は着実に回復しています。それは政府の発表する
さまざまな景気動向指標(DIなど)に表れていますし、株価も
上がってきています。
第一、大赤字だった銀行がいまや大黒字になっています。
(オイオイという感じもしますが)
ただ「景気回復が庶民レベルで実感できない」というのも確かです。
それはバブルの後遺症で、企業も消費者も「あつものにこりてなます
を吹く」みたいな状況になって、消費を差控えているからではないでしょうか。
その他にもいろいろ理由があるようですが、詳しくはこちらで。
⇒http://allabout.co.jp/career/economyabc/closeup/CU20061022A/

のばらさん、おはようございます。

>当事者が亡くなって過去のことになっているようなものだと、読むのですが、
>最近のものだとあまりにも生々しい感じがして読んだ事がありません。
時代小説がお好きなのばらさんらしいですね(=^^=)
私は「生々しい」のも好きです(;^_^A

竹中さんのこの作品は力がこもっていて、かつ「生々しさ」も
ほどほどなのでおススメですよ~。

おはよです。
アメリカがしっかりとした戦略の下にやってると思うのですよね。
だから陰謀説という呼び方はとはまた違うのではないかと思います。

私もそんなに日本の経済・財界はヤワだと思いたくはないのですが
最近の外資系保険のCMがやたらと流れているのを見ると
この失われた10年で外資が
大きく日本の経済界に食い込んだことは間違いないように思えます。

また、アメリカのように一部の人間が富のほとんどを握るような
格差社会を自らのためにつくりあげようと日本政財界の面々が
アメリカを利用してるという逆の可能性なども考えてまして。

郵政民営化に関しても、陰謀説というのではなく
小泉さんらとアメリカの思惑が一致してたから
うまくいきやすかったのかなくらいに思っています。

同じく事実やデータに基づいたものでなく、
あくまで私の感覚が主体なのであまり突っ込まないでください(^^;

不良債権に関しては、なんで銀行だけは
国が守ってくれるのかという理不尽さを感じますね。
銀行も企業もミスをすれば倒産するのは当然のことだと思います。
ですので銀行にだけは公的資金が注入されるのおかしいと思います。

また、銀行に公的資金注入(ある意味で民間を国営に)と
郵政民営化(国営を民間に)を同時にやってるのには
かなりな違和感というか矛盾を感じますし。

景気回復が実感できないのはじっちゃんさんのいう理由
+大手企業が下から搾取してるからではないかと思います。

ううむ、頑張って書いてはみたものの知識不足のため
いまいち伝えきれない・・・(-_-;)
とりあえずまたうちのブログの方で最近読んだここらへんに関する
「ヤクザリセッション」「姿なき占領」「製造業崩壊」あたりを記事で紹介しますので
またよかったらじっちゃんさんも読んでみてください。

シンさん、いらっしゃいませ。

これ以上論じてもキリがないので、ここらで矛をおさめたいと思いますが、
最後に一言だけ<=しつこい!(笑

それは「隣の芝生は青く見える」ということです。
よく、外交戦略において、欧米、中韓をはじめとして
周囲の国は巧みでしたたかなのに、日本は下手でだらしないという
論調が見られますが、私はそんなことはないと思います。
そんな外交下手な国が世界第二の大国になれるでしょうか?

誰しも身近なものは弱点を含めその内情がよく見えるので、
内情のわからない身近でないものに比べて劣って見えるものです。
日本の外交にだらしない点があるのは私も大いに認めますが、
欧米や中韓もそれぞれの問題を持っていると私は思います。

それに楽観的な見方より悲観的な見方の方がお利口そうに見えるので、
インテリはどうしても悲観的な見方に走るものです。

私は日本をもっと信じたいと思っています。

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石原慎太郎

石原慎太郎石原 慎太郎(いしはら しんたろう、1932年9月30日 - )は、日本の政治家、小説家。現東京都東京都知事|知事、元衆議院議員、元参議院議員、元自由民主党 (日本)|自民党員。第34回芥川龍之介賞|芥川賞受賞作家、現同賞審査委員。昭和期の俳優、
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