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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
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①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
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小泉政治の舞台裏-『小泉官邸秘録』


飯島 勲 / 日本経済新聞社
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先日の『構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌』に続き、小泉政治の舞台裏を描く作品です。小泉さんが代議士になった時からずっと小泉さんの秘書であり、総理大臣時代は政務担当首席秘書官を務めた飯島さんのことですので、相当ダイナミックな裏話が聞けるだろうと期待は膨れます。特に、竹中さんの著書で全くあるいは少ししか触れられていなかった総裁選や北朝鮮外交の舞台裏も覗けるだろうし、郵政解散についても抵抗勢力の抵抗ぶりを含めてより生々しい話が聞けるのではないだろうかと。

ところが・・・・。

--------------------
この本を読み終えて真っ先に思ったのは、「(街頭で配られたり、家に投げこまれたりする)議員の活動報告みたいだな」ということです。つまり、「私(この場合は小泉首相も含まれますが)はあれもやったこれもやった」ということばかりで極めて表象的なことしか書いてないのです。手柄話が悪いと言っているわけではありません。私が高く評価した竹中さんの著書だってある意味手柄話ですからね。でも、手柄に至る苦労話を知りたい(それも生々しい形で)、それがこの本を手に取った読者が当然持つ期待なのですが、それに全く応えていないのです。

飯島さんが書く『小泉官邸秘録』に、あなたなら具体的にどんなことが描かれることを期待しますか? 私は次のようなことを期待していました。

・小泉首相を誕生させた総裁選における選挙戦略
・田中真紀子との確執
・郵政民営化法案検討・審議過程における抵抗勢力との暗闘
・郵政法案議決時の反対議員の説得工作
・郵政総選挙における選挙戦略(刺客戦略、広報戦略など)
・郵政民営化過程における官僚との暗闘
・さまざまなメディア戦略(飯島さんはメディア戦略に長けているとの評価が高い)
・政権運営における表に見えない小泉首相の苦悩

あなたの期待が私と同じなら、残念ながらあなたの期待はことごとく裏切られます。これらの話はほとんど出てこないか、出てきても報道などの内容からうかがい知れる程度のものだからです。

もちろん抵抗勢力や官僚との暗闘も描かれますが、よく言えば穏健な、悪く言えば毒にも薬にもならない描き方で、闘う相手の顔が見えない全く迫力に欠ける内容です。乱暴な言いかたをすれば「反対した」「抵抗した」とは書いてあるが、誰がどんな理由でどのように抵抗したかは書いていません。

一つ、二つ「生ぬるさ」の例を挙げてみましょう。

例えば郵政法案における抵抗力との闘争ということであれば、反対派の急先鋒である亀井静香、荒井広幸両代議士との激しいやりとりを期待するではありませんか。ところがこの本ではこの両名の活躍(?)がほとんど描かれないのです。そもそも両名の名前が出てくるのさえそれぞれ1,2度程度に過ぎません。信じられないでしょう?

もう一つ例を挙げると、郵政法案が参議院で否決され、小泉さんが衆議院を解散しそうだというので、森元首相が総理公邸に説得に行ったエピソードがありますよね? 説得に失敗した森さんがつぶれたビール缶と「干からびた」チーズを見せながら愚痴って見せた名場面。あれについては森さんの名演技だという説も流れ、実際どうなんだろうと興味津々だったのですが、この本では「森総理の名演技だと称する人もいた」とこれだけ。立場上「演技だ」と断ずることはできないまでも、小泉さんがその後でどのような感想を漏らしたか(あるいは漏らさなかったのか)とか、周りの人がどう評していたかとかをもう少し詳しく書いて艶のある内容にしてほしかった。

例のホリエモンの公認問題(「社長を辞めないなら公認しない」)についても飯島さんが深く関わっています(このことはこの本でも認めています)が、それについてもあっさりしたもんです。

ホリエモン 「社長は辞めない」
飯島 「それでは公認できない」
ホリエモン 「では無所属でいい。郵政民営化には賛成です」

これだけ。ああ、つまんない!

要するに、この本には小泉官邸のインサイダーである飯島さんならではの付加価値が全くないんですよね。

飯島さんも小泉さんもいまだ政治活動を続けているわけですし、立場上何もかも洗いざらい書くわけにもいかないのは理解しますが、それにしても生ぬるすぎます。政治的な配慮のためにこの程度の内容のものしかどうしても書けないというのであれば、そもそも作品として上梓すべきではないし、少なくとも「秘録」なんて羊頭狗肉的タイトルをつけるべきではありません。

【じっちゃんの評価:★】

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COMMENT

おじゃまします。

なんだか散々な本のようですね。
慌てて今出さなくても、5年10年経って、
表に出しても良い部分が
多くなってからの方が良かったみたいですね。

それと飯島さんが小泉さんを陰で動かす黒幕って
マスコミが煽るのを嫌ってるって何かで見聞きしましたんで
小泉さんにだいぶ遠慮されたのかも・・・

こんばんは^^

こちらももう読まれたのですね。
さすがです。
で、こちらは面白くないと。
記事内容を読むと確かにそうっぽいですね。
貴重な情報感謝ですm(__)m

たまの猫さん、シンさん、おはよです。

アマゾンでの評価はまずまずなので、
私の期待が高すぎたかもです。

飯島さんは前作『代議士秘書』も読んで面白くなかったので、
飯島さんに作家的素質がないか、私と肌が合わないか
どちらかでしょう。

飯島秘書が結構人事や外交とかに口を出して
かなり動き回るのにはふーむとうならされましたが。

こんにちは^^

確かに期待が大きすぎると後の評価に響きますもんね。
アマゾンの評価当てになりそうで当てにならなかったりですし^^;

シンさん、おはようございます。

竹中さんの著書が期待通りだっただけに、
飯島さんの著書には竹中さんの著書ではカバーできなかったところを
カバーしてもらいたいという期待があって、その期待が満たされなかった
もんだから・・・・。

>アマゾンの評価当てになりそうで当てにならなかったりですし
そうですね、確かに。それに人の評価は人の評価、
自分の評価とは別ですしね。

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