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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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人生観が変わるほどの衝撃-『時間はどこで生まれるのか』


橋元 淳一郎 / 集英社(2006/12)
¥693
Amazonランキング:997位
Amazonおすすめ度:


「時間とは何なのか」ではありません。「時間はどこで生まれるのか」です。時間は「在る」ものではない「生まれる」ものだということを暗示しています。このタイトルからして刺激的で、時間に関する新しい理論の展開が予感されます。そしてその予感は「当たり」でした。

正直言います。私はこの本の論ずるところが半分も理解できませんでした。しかし、にもかかわらず、この本の論考は面白くかつ刺激的で、その結論には衝撃を受けました。いえ、「衝撃」では生ぬるいかもしれません。震撼させられ、呆然とさせられました。そのくらいものすごい時間の概念が提示されます。

今、難しくてよくわからなかったと書きましたが、難しいのはその概念(※)が難しいからで、著者の筆力に問題があるわけではありません。
  ※最新の物理学、相対論とか量子論とかって、もう頭で想像することすら難しい概念てあります
   よね。例えば、空間に時間が加わった四次元空間=時空とか、非ユークリッド空間とか、不確
   定性原理とか、確率論的実在(シュレディンガーの猫)とか。そういうのを、そんなことは知
   らない他人に説明する難しさを思ってください。しかも、著者がこの本で提示するのはそれ以
   上に異様な概念なのです。

--------------------
著者の語り口はとても平易で、難しい概念を努めて読者が咀嚼しやすいように噛み砕いて解説しようとしています。そしてその努力は成功しています。こんな難しい話を私が半分近くは理解できたのですから。客観的にみても、この話をこれ以上易しく書くのは無理かと思います。

ネタバレにならない程度に、時間の謎をとくキーワードをいくつか書いておきましょう。

ひとつめは、我々の住むこの世界=マクロの世界と、原子や電子その他の粒子などのミクロの世界はまるきり別世界であること。マクロの世界では存在する確固たる概念がミクロの世界では消え去ってしまうこと(逆に言えば、ミクロの世界で存在しない概念が、マクロの世界で「生まれる」こと)があります。例えば、マクロの世界で存在する色、温度、位置、速度という概念はミクロの世界では存在しません。

そして、エントロピー増大の原理。この理論は、極めて単純化して言うと「物事は何でも、放っておけば、秩序ある状態から無秩序な状態へと向かっていく」というものです。

この2つが時間の誕生に関する主要なキーワードです。これを聞いて「あっ、そうか」とちょっぴりでも想像できた方は天才です。たいていの方はこれだけ聞いてもちんぷんかんぷんでしょう。そういう方は是非この本をひもといてください。

先ほど著者は素人にもわかるように平易に書いていると言いましたが、それでもやはり物理学の基礎知識は必要です。ニュートン力学はもちろん、相対性理論と量子力学についても「一度何かの本で読んだことがあるくらい」の知識は最低限必要かと思います。そして、相対論と量子力学を齧ってみようとするくらいの意欲のある方なら、私同様、この本を"半分"理解するのは難しくないと思います。是非チャレンジしてみてください。

また、過大な期待をいだかれないように申し添えておきますが、著者は時間という概念の全体像を描き出せているわけではありません。それどころか、氷山の一角にも満たないほんのとば口だけを提示しているに過ぎません。著者も断っているように極めて単純化した概念だけです。読み終わって「あっそうか」と思いながらも、納得できたこと以上の疑問がわいてきます。例えば、私の時空間と他人の時空間の関係は?とかね。また、そもそも本書の理論が正しいとの保証もありません。ひょっとしたらとんでもないガセをつかまされているのかも知れません。もっとも、ガセにしても、聞く価値のあるガセですが。

それにしても、本書で明らかにされなかったことも含めて時間の本質が明らかになるのはいつのことでしょうか? あるいは永遠に明らかにならないかも知れませんし、ひょっとしたらその方が人間にとっては幸せかもしれません。私、この本読んで人生観変わりましたもん。全貌が明らかになったりしたら、それこそ・・・・。

【じっちゃんの評価:★★★★★】

蛇の足:時間の概念以外に本書に現れる面白議論
*時空は複素数で表され、時間は実数、空間は虚数で表される。
 -これに関する説明は秀逸で、かつこれだけでも震撼させられます。これはあらゆる速度が光速
  を越えられない事実と関係しています。
*万有引力はなぜ「引力」でないといけないのか? 万有「斥力」であってはいけないのか?
*「多次元並行宇宙理論」の真偽は?
*タイムマシンは可能か?

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COMMENT

むーん。
今、記事を3回くらい読み返したんですがさっぱり・・・活字が目の前を素通りしていきます。すごくおもしろそうな匂いがぷんぷんしてるんですけど、物理はどうも苦手ですねぇ。学生時代から進歩がないです。

仁香さん、こんばんは。

私も学生時代は数学とか物理は大の苦手でした。
でも、分からないながら、こういう話を読むのは好きなんですよね。

この本はとても面白かったです。うーん、久々に興奮させられました。
チャレンジしていただけたらうれしいな。

こんばんは^^

以前に少し複雑系について調べているときに
派生してこの手の勉強をしていたのでいわんとするところのものは理解できました。
もちろんピンときたわけではありませんが(;´д`)
この世界はほんと面白いですよね。
じっちゃんさんの評価が★5つとは珍しいですし、
興味ある分野ですのでこれは買いかな。
良い情報を感謝ですm(__)m

シンさん、おはようございます。
5時なのに「こんばんは」とはこれからお休みなんでしょうか(◎_◎;)

>じっちゃんさんの評価が★5つとは珍しい
読んだ時の衝撃がすごくて、もう★5つにするっきゃないと。

好奇心の豊富なシンさんならこの本お楽しみいただけると思いますよ。
新書なんでお値段も手ごろですし。

おじゃまします。

同時に存在してるのを確認できても
決して交わる事は無い時間の世界って不思議ですよね。
時間について想像を巡らせてると限が無いです。
・・・って具合に時間に関しては興味大有りなんですが
科学的知識が乏しい物で
専門的になってくると、これまたさっぱりですわ~
じっちゃんさんのご紹介されたこの本も
何処まで理解出来ます事やら
なにしろ先ほど読んだ『魔法の猫』の本の中の
ゲド戦記の作者アーシュラ・K・ル・グィンの
生きているけど、死んでいる何とも禅問答みたいな話で
初めてシュレディンガーの猫の事を
目にしたぐらいの知識しかない物ですから・・・

ところでシュレディンガーの猫って有名なんですね。
息子曰く『え・知らないのシュレディンガーの猫って有名だよ』
と言われてしまいました。・・・トホホ(^^;;A)

レビューに書いたように私もこの本の内容を100%理解できたわけではないです。
っていうか理解できていない部分の方が多いです。
でも、だからこそ面白いのかも。

シュレディンガーの猫は、量子論の解説には必ず出てくる有名な話です。
ですが、量子論に興味がなければ一生耳にしない名前かも。

こんばんは^^

>今からおやすみ
最近は比較的そのへんからが多いですが
明るくなってるかをだいたいの基準にしてます。
基本的に生活リズムはムチャクチャですんで(;´д`)

この手の知識はいっぱい欲しいですし
じっちゃんさんの評価も高いのですで次回購入を決定しました^^

と、「シュレディンガーの猫」ですが、
哲学辞典とかにも観測の問題のところで出てきますし
複雑系でも同じように登場してたりです^^
使われ方や説明のされ方は量子論と同じですが。

シンさん、おはようございます。

余計なお世話ながら、お日様には当たるようにしたほうがいいですよ~。
>次回購入を決定しました
お買い上げ、ありがとうございます!

>哲学辞典とかにも
哲学辞典には出てきてもおかしくないですね。

>観測の問題のところで
猫の運命はいつ決まるかってやつですね。

>複雑系でも
私、複雑系についてはほとんど読んでないのですが、
Aという現象から何が起きるか予測するのは難しいというところで
シュレディンガーの猫が出てくるのかな?

ご心配感謝です。
私の部屋にはカーテンなんて洒落たものがないので
いやでも全身に太陽光は浴びてたりします。
もちろん寝ながらですが(;´д`)
>哲学辞典
ちょいと前から本格的な哲学系の本を読んでるのですが
観念論を調べてるときに観測のところで出てきてました。
>複雑系でも
たぶんそんな感じだったかと思います。
というか複雑系はこういったも分野の色々なものが
それまた名前の如く絡まってる学問なので
(それで複雑系と呼ばれてるのではないと思いますが)
使われ方は量子論からはこんなアプローチがありますよ
ってな感じで紹介されてたような記憶もあったりです。
不確かな記憶なのでちょっとあれですが
(ペラっと蔵書を調べたら出てこなかったし・・・)。
すませんです。
とりあえず、こういうことに興味があるなら
是非とも一度複雑系の本を読むことをオススメします。
私が学生時代の先生(専門はゲーム理論)に紹介された、
うちのブログの「サイドバーでも紹介している
「複雑系入門 知のフロンティアの冒険」は
わかりやすく色んな複雑系の研究について紹介されてるので
まさに入門書の持ってこいだと思います。
ですのでまた機会があれば読んでみてくださいって感じです^^
なお、わかりやすいといっても場所によっては
わけわからん数式とか出てきて非常に「複雑」ですが(;´д`)

『複雑系入門 知のフロンティアの冒険』、アマゾンでちぇっくしてみました。面白そうな本ですね。買い物かごに入れときました。

私、複雑系については、ジェイムズ・グリックの『カオス―新しい科学をつくる』と『「複雑系」とは何か』(吉永良正)しか読んでませんが、もやもやした感じが残ってます。再チャレンジしてみようかと思います。

ところで、最近複雑系がそれほど話題に上らないのは、目新しい科学から普通の科学として認知されたってことですかね。

こんにちは

お買い上げありがとうございますです。
網羅的な入門者となってますので一つ一つの内容は薄いかもですが
(もちろん薄いといってもそれぞれが難しいので読み応えはばっちり)
その分俯瞰的に複雑系について知ることができるかと思います。

最近複雑系が話題に上らないのは
おそらく人工知能の開発に失敗したからでないかと思っています。
つまり結果が出なかったと。
さらに結果がなかなか出そうにないからかとも。
勉強不足は否めないのでもちろんハッキリとしたことはわかりませんが・・・
すいませんですm(__)m

シンさん、こんばんは。

あは、読むの楽しみになってきました。
読んだらレポします。

複雑系は人工知能につながるんですね。
(そんなことも知らないのかといわれそうですが)
よく考えれば人間の脳って複雑系ですもんね。
私としては人間の脳や思考については永遠に解明されない方がいいかもと
思ったりしてますが。

こんばんは^^

複雑系はホントに色んな分野が絡まってますからねぇ。
だから面白いといえば面白いのですが
そのぶん複雑で難しいのですよね。
人工知能もその一分野だったかと。
観測する人間側に人間であると言う拘束があるので
永遠に解明されない可能性があるのですが
解明しようとする努力にこそ人間の美しさがあると私は思っています。

>解明しようとする努力にこそ人間の美しさがあると私は思っています。
その通りですね。探究心こそ人間のレゾンデトールですからね。
脳の話は私も何冊か読んでますが、面白い一方、
あまりにもわかっていなくて隔靴掻痒の感もありますね。
なかなか奥が深いです。
特に「こころ」の問題は。

でも、「こころ」の問題が物理学的、生理学的にすべて説明できたら
ちょっと味気ないですし、怖い気も。
それが、私が「永遠に解明されない方がいいかも」と書いた理由です。
でも不確定性理論や量子の奇妙な振る舞いなどを見ていると
どこかで確定しきれないところが残るような気もします。

こんにちは^^

脳の話はホント面白いですよね。
最近では技術の進歩もあり少しずつですが
解明されてる部分もでてきていますし。
こころと脳の関連を考えるのはとても楽しいです。
味気ないですし、怖い気は確かにしますが
じっちゃんさんも言及してらっしゃるように
量子論や不確定性理論から決して解明できるような、
少なくとも今の人類では無理な気がしてるので
それはそれで安心で、かつそれを追う楽しみがあるかと(人´∀`).☆.。.:*

シンさん、まいど。

>少なくとも今の人類では無理な気がしてるので
同感です。でも真理には迫って欲しいですね。
『こころはどこで生まれるか』という本も期待したいところです。

TBさせていただきました

こんばんは、こちらからTBさせていただきました。

これまでの所では、「時間論」に関する最良の入門書ですね。
人間の認識力で、どこまで理解できるか分かりませんが、生きているうちにもっと研究が進んで欲しいものです。

Nikkiさん、おはようございます。
TBありがとうございました。
イタリア旅行から帰ってらしたんですね。
すばらしい写真にため息が出ました。

おっしゃるように時間の真の概念て人間の認識力を超えているかも
しれませんね。「こころとは何か」という問題とも深く結びついている
ようにも思えますし。

古い記事にすみません

僕もこれを読んだのでTBさせて頂きました。
こういうのを読むと仏教的思想とのつながりを感じて非常に興奮します。量子論とかは何回読んでも理解できないんですが、やはり読んでしまいます。片思いを通り越してストーカーみたいなもんですi-229

それにしてもいよいよ明後日試験ですねぇ。
受かる受からないというより「やりきったぜ!」と思えるような試験になると良いですね。期待しています!!

Yさん、トラバありがとうございました。
私もトラバさせていただきました。

>それにしてもいよいよ明後日試験ですねぇ。
なんですよね。この年になって試験を受けるっていうのは、
なんかワクワクするような気持ちもあって・・・・。

甲子園やオリンピックに出る選手じゃありませんが、
「試験を楽しんできます!」

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