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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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戯曲で本格ミステリ?!-『夜の来訪者』(An Inspector Calls)


An Inspector Calls
J.B. Priestley
Letts Educational Ltd (2004/4/1)
¥ 1,151

夜の来訪者
プリーストリー, 安藤 貞雄
岩波文庫(2007/02) ¥ 588(税込)

戯曲ミステリーと言えば、真っ先に思い出されるのはミステリーの女王アガサ・クリスティーの『検察側の証人』ですよね。というか、これくらいしか私は思い出せません(;^_^A

そんな貴重な分野にひとつの名作が加わりました。といっても新作ではありません。半世紀以上も前の1945年(第二次世界大戦終戦の年ですね)にイギリスの文芸評論家で劇作家のJ・B・プリーストリーが発表した戯曲。原題はAn Inspector Calls、直訳すれば「警部が訪問する」ですが、日本題は『夜の来訪者』となっています。

この作品はイギリスでの発表後のわずか5年後の1950年に内村直也がいち早く翻案して俳優座で上演しています。『夜の来訪者』というタイトルもその時に内村直也がつけたものです。『夜の来訪者』は今でも俳優座のレパートリーのひとつとなっていて昨年の9月にも上演されており、原作の出来のよさがうかがわれます。

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舞台は裕福な実業家Birling氏の邸宅。娘の婚約を祝って、実業家夫婦と息子、娘、その婚約者の5人で会食をしています。そこへGooleと名乗る警部が訪ねてきます。近くでEva Smithという若い娘が自殺し、その捜査の一環として訪ねてきたと言います。果たしてこの娘の自殺とBirling一家の関係は?・・・・というのが物語の興味の中心となります。

Gooleはひとりひとり順番に事情聴取をしていきますが、巧みな尋問でBirling一家の面々が正直に答えざるをえないように誘導しながら、次々と驚くべき事実を明らかにしていきます。ここがこの本の最大の読ませどころのひとつであり、次第に事情が明らかになっていく過程はとてもスリリングで、ページを繰る手が止まりません。

そして何もかもが明らかとなったと思ったところに大どんでん返しが待っています。常套手段とは言え、この仕掛けにもびっくり。どんでん返しそのものの驚きに加え、最後に余韻を残す手法など、優れたミステリが備えるべきものがしっかり備わっていて、もう脱帽です。

物語の背景には社会主義的視点での社会批判(「階級格差」や「経営者による搾取」など)が籠められていて、今の視点で見てしまうとちょっと陳腐な匂いを感じてしまいますが、当時深刻な問題であったことは紛れもない事実であり、これが物語に厚みを加えています。

ペーパバックで70ページ強、翻訳では150ページ強と分量も手ごろ。戯曲ミステリの佳品としておすすめします。

【じっちゃんの評価:★★★★】

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ArcangeLogを来訪いただきまして有難うございました。
いろいろな話題が豊富で楽しいブログですね。
英語の学習は参考になりました。
よろしければ、またArcangeLogにもおいで下さい。

Arcangelo Gabrielさん、ご訪問ありがとうございます。

おほめいただき恐縮です。
これからちょくちょくArcangeLogさんも訪問させていただきます。
こちらのブログもよろしくお願いします。

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