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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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デジタルでは測れない人の気持ち-『好きになってはいけない国。』

「好きになってはいけない国」--誰がどこの国について言っているのでしょうか。それがすぐ分かった方はなかなか鋭い方です。私はすぐ分かりました--と言っても、本のジャケットという大きな手がかりがあってのことですが。

思わせぶりはやめましょう。それは・・・・。

--------------------
それは韓国の若者の、日本に対する気持ちです。答えを言ったところで、本のジャケットを出しましょう。


菅野 朋子 / 文藝春秋(2005/03)
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ジャケットから想像がつくようにこの本の主題は韓国の女の子、それも日本のアイドル(ジャニーズや安室奈美恵、X JAPANなど)のおっかけをしている少女たちです。そんな少女のひとりに著者が「日本は好き?」と問いかけたところ返ってきた返事が「好きになってはいけない国」です。この言葉に少女の複雑な気持ちが読み取れます。

この本を読んで改めて感じるのは韓国の人たちを「韓国人」という言葉で十把ひとからげにして論じてはいけないということ。「日本人」が一括りで論じられないように「韓国人」にもいろいろな人がいます。"想定"通り日本を大嫌いな人もいれば、日本を好きな人もいます。まったく無関心な人もいれば、先ほどの少女のように複雑な気持ちを抱いている人もいます。

以下、この本に出てくる韓国の人たちの日本についての発言をいくつか列挙してみましょう。

「好きか嫌いかっていうなら、嫌い。昔のことをきちっと謝らないし」(男子高校生)
「(韓国が日本に占領されたことについて)知っているけれど、韓国が弱かっただけでしょ」(17歳の少女)
「反日感情なんてありませんよ。もう日本がああだこうだという時代ではないでしょう。子供たちにはそう言い聞かせています」(熟年女性)
「嫌いではないけど、好きでもないな。関心はあるけど」(発言者不明)
「(日本人の)友達はみーんないい子ばかりで大好きだけど、日本に対しては何か"ひっかかり"みたいなものがあるんだよね」(26歳の女性)
「日本が嫌いな部分もある。ただ、日本をよく知りもしない人が日本について批判的なことを言うのは許せない。(そういう時は)弁護しちゃったりするんだよね」(22歳の女子大生)

こうした発言をちょっと並べて見てみただけで、マスコミが報じるような「日本大嫌いの韓国人」的ステレオタイプな見方は現実を正確に表していないことがわかります。

ところで、X JAPANが出てきたのでお気づきとは思いますが、この本の描く主な時代はちょっと古くて1998から1999年。その後日韓共同のW杯開催、韓流ブーム等日韓関係に大きく影響する出来事がありました。それらによって韓国人の日本に対する気持ちは大きく変化しています。文庫化にあたって、著者は2004年に追加取材をして、そのあたりの状況を含め大幅加筆しています。この誠実な姿勢には大いに好感を覚えます。

W杯で日本よりよい成績を収めたことにより韓国の人たちの日本に対する見方に余裕が見られるようになったと著者は言います。

そしてその後のヨン様ブーム・韓流ブーム。愉快なことに、当初韓国の人たちは、韓国のマスコミが伝える日本でのヨン様ブームをまったく信じなかったそうです。著者自身、韓国の友人たちから何度も「ペ・ヨンジュンて本当に日本で人気があるの?」と聞かれたといいます。彼らの言い分は「韓国のスターが"先進国・日本"で人気があるはずがない」「ヨン様ブームは韓国のマスコミのでっちあげ」に違いないというものです。

ここには韓国の二つの側面が見事に現れています。ひとつは日本に対する劣等感。嫌日はその裏返しであるとも言えます。もうひとつはマスコミの日本報道に対する不信感。実は著者によると韓国人の反日感情は学校教育のせいと言うよりも、マスコミの徹底した反日報道の影響が大きいといいます。

少女のひとりも言います。「学校で習う国史の影響もあるけど、歴史として習うだけだし、決して反日教育をやっているわけじゃない。でも、解放記念日(日本の終戦記念日にあたる)とか三・一節(日本に対する独立運動開始を記念する日)が近づくと、テレビドラマや新聞で反日の内容のものをよくやるでしょ。あの影響ってすごいと思う。なんか、日本は好きになってはいけない国って思わされるっていうか」

韓国のマスコミの日本に対する偏向ぶりはそれはひどいものらしい。韓国の大新聞の元記者は言います。「今の局長クラスはほとんどが反日的。日本の現実を描いた記事を持っていっても親日的とみなされて全部ボツにされる」。そして、裏づけのない、時にはでっちあげの反日的記事が無批判に掲載されると。でも、韓国の人たちは冷静で、それらのニュースを眉につばをつけて聞いているんですね。ちょっと感心しました。なお、著者によれば、最近は日本に対する反日的報道も沈静化してきたとのこと、誤解ないよう申し添えておきます。

この本は読み出すと止まらないくらい面白く、一気に読み上げてしまいました。ただ、面白いことは面白いのですが、いかにも掘り下げが足りません。少女たちにインタビューはするのですが、その答えの裏にあるものに対する追求が弱いし、インタビューも表面的に流れているキライがあります。筋金入りの反日家への取材がないのも物足りません。唯一かつて大ベストセラーになったデタラメな反日本『悲しい日本人』を書いた田麗玉氏を取材していますが、その取材は彼女の言い分を聞くだけに終始しておりまったくの突っ込み不足。あんなデタラメ本で韓国人の反日感情を煽ったことをまったく反省する素振りもなくいまだに意気軒昂な田麗玉氏の様子に、忘れていた憤激が再び甦りました。そんな彼女に対して著者は彼女の言い分を一方的に聞くだけで反論どころか何の突っ込みもせず、私のフラストレーションは溜まる一方でした。

こうした欠点はあるにせよ、韓国の人たちの日本に対するホントの気持ちを知るには、この本はいい手がかりになるでしょう。少しでも韓国に興味のある方(いい意味でも悪いいみでも)にはおススメです。

【じっちゃんの評価:★★★】
※久々にレビューを書いて疲れました。英検も終わったので、徐々に昔のペースに戻りたいと思います。でも・・・・。
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COMMENT

こんにちわ~、じっちゃん。

なぁるほど!
Love & Hate の関係ですね。
アラブ諸国の 『国民』 達は実はアメリカ 『人』 やハリウッドは大好きなのである、 といった様な事を報じるのをテレビで見た事がありますが似てるのかしら~~。
(アメリカのプロパキャンダかも知れませんが・・・?)v-411

報道されるのをそのまま鵜呑みにしてはいけない、と判断する国民には感心してしまいます。。。

ところで、ご実家の方、台風の被害は~?
千葉の私の実家も無事なようですが。。。

日韓関係がいまだにLove & Hateの関係から抜け出せないのは残念なことです。その原因はもちろん先の戦争にあります。つくづくとバカな戦争をしたものだと思います。しかも後始末がへたくそな政治家のおかげで、いまだに中韓との間で戦争をひきずるという愚かなことになっています。この関係を改善するには日本がかなり譲歩しなければという気がします。

>報道されるのをそのまま鵜呑みにしてはいけない、
>と判断する国民には感心してしまいます
日本でもそうですが、国民は政治家やマスコミと比べて遥かに賢明だと思います。中国も反日運動ばかりが報道されますが、中国だって反日的な人ばかりではないはずです。

こんばんは。
どうやら私は鋭い人間のようです^^
にしてもこういう本もあるのですね。
ちょいと前にこの手の本をけっこう読んでたので
これも気になるところですね。
積み本が100冊くらいあるのでいつになるか不明ですが
とりあえずメモりました。
情報感謝でありますm(__)m

シンさん、おはようございます。
シンさんなら当然こういう本にはご興味があるでしょうね。
積み本が100冊ですか。そりゃ大変ですね。
その山をかき分けてたどりつくことができたら
手にしてみてください(;^_^A

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