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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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犬が主役のミステリ-『ソロモンの犬』


道尾 秀介 / 文藝春秋(2007/08)
Amazonランキング:42145位
Amazonおすすめ度:


処女作から全作品(単行本)をリアルタイムで読破している唯一の作家・道尾秀介さんの最新作です。

道尾さんは一作一作新しいアイデアを盛り込んできますが、この作品もそう。まずは犬の習性を利用したメイン・トリック(あっ、これネタバレではありませんよ! 最初から作品の中でそれが示唆されていますから)。こういうの好きです。それと冒頭のシーン。読んでいて何か違和感があったんですが、その理由が分かった時はあっと声なき声をあげましたね。こう来ましたか・・・・って感じで。完全に意表をつかれました。

物語は、相模野大学の三年生、男女2人ずつを核とする青春ミステリー。ご想像通り恋あり、恋のさやあてあり、浮気騒動ありで、これだけでも結構読ませます。特に主人公・秋内静(男子です)の忍ぶ恋が成就するかどうかが読む者をはらはらさせます。秋内のうぶでおずおずした不器用なアプローチには共感を覚える読者も多いのではないでしょうか。そして。この男女4人の恋物語にも驚くべき真相が隠されているんですから油断がなりません。

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メインの事件は、この男女4人と交流があった少年の自動車事故。事故の原因は、この少年が散歩をさせていた愛犬が少年を引っ張ったまま突然道路を横切ったこと。なぜ、その犬は突然道を横切ったのか。この「事故」は事故だったのか、事件だったのか。これがメインの謎となります。この謎を主人公の秋内が大学の動物生態学の助教授・間宮とともに追いかけていきます。その謎を一気に解かずに少しずつもつれた糸がほぐれていくように解いていく過程は読ませます。

そしてこの間宮助教授のキャラが抜群です。学者馬鹿丸出しで、身なりにはまったく気を使わず、言動が一般人から少しずれた変人、その割にはお茶目で可愛い一面もあります。そして抜群の推理力を持つ名探偵(?)。名探偵というとちょっと現実離れしたキャラ(こんなのいる?)になりがちですが、道尾さんの造形力の巧みさでしょうか、こういう人ならいそうで不自然な感じはしません。間宮助教授を名探偵役に据えた(そして秋内がワトソン役?)続編を期待したいところです。

間宮助教授の唱える「恋する人を前にした男女は声の調子が微妙に高くなる」という理論は面白かった。

ストーリーテリングの巧みさも相変わらずで、私文字通りの一気読み、久々に一日で読み終えてしまいました。

さて、不満もあります。

まず、世評の高い『シャドウ』もそうだったんですが、犯行の動機とその方法が納得いきません。動機についてはこれくらいのことであそこまでやろうとするかという疑問、方法については犯行のTPOについての疑問。メイントリックについても、面白くはあるものの、実際にそんな風になるだろうかという疑問がぬぐえません。

そして、これも『シャドウ』でも強く感じたことですが、いろんな思わせぶりな出来事の多くが「な~んだ」という結果に終わってしまうのも消化不良です。「な~んだ」でもいいのですが、それならそれで、それが納得できるような工夫がほしいところです。

【じっちゃんの評価:★★★】

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COMMENT

まっておりましたあ!
いやいやいい講評です。
だいたい私の感想と同じだったかな。
ほんとによく考えてるなあ!と感心しちゃうけど、ちょっと強引だよね、と思いましたもん。じっちゃんさんの☆3つはほめすぎかもです。わたしは・・・ひまわりが4つだとしたら2つ半ですね。

楽しんで書くのが彼の本領なのですが、これは特に楽しんでしまったそうです。

お盆に焼津で盛り上がったときに、「バーベキューのおじいちゃん」のモデルがいて、そっくりの言動、行動をしていておもしろかったです。「楽しいけど、あれが自分の父親だったりしたら大変だよな」みたいな記述もあって、心から納得したものです。

私としては、今連載中の「ラットマン」がけっこういけてます。が、続きが買えてないのです。来春単行本になるらしいので、それまで待とうかな。

まーめさん、こんにちは。

>ひまわりが4つだとしたら2つ半ですね
なかなかきびしいですね(=^_^=)
もっとも、実のところ私も★2つか3つかで迷いました。
でも、あれだけ楽しませてもらえば満足かなと★3つにしました。
それに冒頭のシーンの真相も「こんなのあり?」的にあきれながらも、
そういうのを堂々とやってしまう道尾さんに感心してしまったりして。
ちなみに私もひまわりは★4つです(あれはとうとうレビュー載せ損ないました)。

「バーベキューのおじいちゃん」、モデルがいるんですか。
そりゃ会ってみたいですね。
私もああなれたら(!)と憧れてみたりもします。

『ラットマン』、楽しみですね。どんなお話でしょう。
タイトルから行くと真備・道尾ものではなさそうですね。
真備・道尾ものは書かれる予定はあるんでしょうか?

P.S.
「じっちゃん⇒まーめさん」という書き方は『ぼちぃ~ぼちいこかぁ Exert myself to step up』というブログを運営されているRosilyさんのやり方をパクらせていただきました(ご本人ご公認)。

こんばんは。
じっちゃんさんをあっと言わせるとはなかなかの作家さんのようですね。
名前は知ってるのですがまだ未読なので、
そのうち読んでみたいと思います^^

シンさん、おはようございます。
この作家さんは、私のブログにもご訪問いただいている
まーめさんの甥っ子さんですよ。
昨年「このミス」ベスト10に2作入賞し、
本格ミステリ大賞も取った今旬な作家さんです。
是非一度お試しあれ~。
シンさんなら、ホラー要素のある処女作『背の眼』か
『向日葵の咲かない夏』がおススメです。
特に後者はとっても変わった、独創的なミステリですよ。

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