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7/12の記事「ビッグバン宇宙論(予告編)」のつづき=本編です☆

著者のサイモン・シンは、僕に言わせれば、今や世界一のサイエンス・ライターです。

初めて読んだ著者の作品『暗号解読』にはほんとに度肝を抜かれました。科学書ってここまで面白くなれるのかって。暗号を作る側と解読する側の知的丁々発止にハラハラドキドキ、科学書なのに血湧き肉躍ってしまいました。科学書必須のアイテム「知的興奮」も満載で(どうしてこんな暗号を考えつけるんだろう?etc.)、科学ファンとしては堪えられませんでした。

続く『フェルマーの最終定理』(著者の処女作で、順番から言えば『暗号解読』よりもこちらの方が先の出版)もやはり科学書というのに手に汗握る物語で、かつ「知的興奮」の点では『暗号解読』を上回っています(数学的ロジックの見事さ、美しさ!)。また、真理探究の道の険しさ、高貴さ、美しさに心打たれるものがありました。

「じっちゃんの評価」ではもちろんこの2作は文句なしの★5つ、特に『暗号解読』は科学書部門で堂々の歴代1位、総合部門でも歴代ベスト10に入ってくるであろうというスグレモノ。科学に少しでも興味のある方はこの2作を読まなきゃ「一生の損」でありましょう。

そのサイモン・シンの最新作というのですから読まずにはおられません。

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本書では、ピュタゴラスの昔(紀元前6世紀!)から現在までの宇宙論の発展を、さまざまなエピソードをちりばめながら、丁寧にたどっていきます。

宇宙論が発展していく中でいくつものパラダイム・シフトが起きています。有名な、天動説(地球中心の宇宙観)から地動説(太陽中心の宇宙観)へのパラダイム・シフト(=コペルニクス的転回)。絶対的な時間・空間観から相対的な「時空」観へのパラダイム・シフト(=アインシュタインの相対性理論)。そして本書の中心テーマである、静的で永遠な宇宙観から動的なビッグバン宇宙観へのパラダイム・シフト。

それらのパラダイム・シフトがいかに起きたかについて、科学者とそれを取り巻く人々のさまざまなエピソードをちりばめながら、著者は再び「知的興奮」に満ちた、血湧き肉踊り、手に汗握る物語へと仕上げています。

著者の優れた点のひとつは、極めて高度で難しいお話(例えば『暗号解読』における公開鍵方式の理論、例えば『フェルマーの最終定理』における数学理論)を素人にもわかるようにやさしく解説する能力です。

その美点は本書『ビッグバン宇宙論』でも遺憾なく発揮されており、科学オンチの人なら名前を聞いただけでしり込みしてしまうアインシュタインの相対性理論や、ビッグバン理論を始めとする宇宙創成論をやさしく噛み砕いて誰にもわかるように解説しています。ですから、これまで相対性理論や宇宙論に挫折した方もこの本で再チャレンジしてみるものいいかもしれません。

ただ、前2作に比べてしまうとじっちゃんの評価は若干落ちます。(それだけ前2作がすごすぎたということでもありますが)

その理由としては、これまで宇宙論についてはたくさんの著作があり、前2作と比べてどうしても材料の鮮度が落ちること、宇宙論を読みつけているものにとっては解説がやはり少しばかりくどく感じられること、登場人物が多く中心となる人物(=読者が肩入れできる人物)がいないため若干印象が散漫になっていることなどが挙げられます。

とはいえ、あくまで前2作と比べての話であり、先にも書いたように、著者は宇宙論の発展を誰にもわかるようにやさしく、かつこれ以上ないくらい面白い物語に仕上げています。今後の宇宙論入門書の決定版となることは間違いありません。また、先ほど「材料の鮮度が落ちる」てなことを言いましたが、本書の中に出てくる多数のエピソードの中には、宇宙論について読みつけている僕も知らないものもたくさんあり、えーっと驚くこともしばしばでした。

それらのエピソードがあまりに面白いので、ここでいくつか紹介するつもりでいたのですが、話が長くなってきましたし、これから読まれる方の楽しみを奪ってもいけませんので、それは読んでのお楽しみということにしたいと思います。(※1)

※1:ひとつだけ。子どもの頃読んだ科学読み物『不思議の国のトムキンス』の著者G・ガモフがビッグバン理論の提唱者のひとりだったなんて知りませんでした。また『トムキンス』シリーズを読み返してみたくなりました。

【じっちゃんの評価:★★★★】
☆この記事で紹介したサイモン・シンの著作☆


はじめまして。
さっそく、読ませて頂きました。

いやぁ、いいっすねぇ。ますます読みたくなりました。
自分は文庫本派(貧乏なのです…)なので、文庫になったら即読みたいと思います。

宇宙論だけでも面白いのにサイモン・シンが書いているとくれば、面白くないわけがないですよねぇ。
【2006/09/18 23:50】 URL | Y #-[ 編集]
Yさん、(ここでは)はじめまして。

>自分は文庫本派
ぼくは"できるだけ文庫本派"です。どうしても読みたい本は単行本でも手をだしてしまいます。

順番だと『ビッグバン宇宙論』より『暗号解読』の方が先に文庫になりそうですね。
【2006/09/19 04:45】 URL | じっちゃん #4o1CV0zs[ 編集]
こんにちは。ウルトラプールの方から来ました、泳ぐ駝鳥です。「フェルマーの最終定理」はちょうど読み終わったところです。こちらも大変面白かったです。ワイズマンの7年に及ぶ苦闘たるや想像を絶するものがありますね。数学者恐るべしと思いました。
【2006/10/07 09:18】 URL | 泳ぐ駝鳥 #-[ 編集]
泳ぐ駝鳥さん、(ここでは)はじめまして。

いや〜『フェルマーの最終定理』読んだですか。残るは『暗号解読』ですね。私的にはあれがサイモン・シンのベスト1です。ぜひ読んでやってください。

>ワイズマンの7年に及ぶ苦闘たるや想像を絶するものがありますね。
>数学者恐るべしと思いました。
確かに。『フェルマーの最終定理』では日本人数学者も
大活躍するのがうれしいです。
【2006/10/07 09:44】 URL | じっちゃん #4o1CV0zs[ 編集]














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