プロフィール

じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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源氏の物語

今日は「確実に雨」という予報だった。
だから、自転車で出かける代わりに家で本を読んでいた。

読んだのは井沢元彦の『GEN『源氏物語』秘録』(角川文庫)。
題名にある通り源氏物語を廻る歴史ミステリー。
探偵役が角川書店の創始者・角川源義だというのが面白い。
そう思って読んでいて、手を休めた時にふと解説を読んだら、
この本は角川書店創立50周年を記念して書き下ろされたものなのだそうな。
なあんだ。

角川の師匠として、あの折口信夫や、そのまた師匠の柳田国男が出てくるのも一興だ。
さらには、あの有名人も登場してビックリ(※)
 ※これから読まれる方のために名前は伏せておく。

この本は井沢の作品らしくリーダビリティも最高だ。
ぐいぐい読ませる。
源氏物語の作者が実は紫式部ひとりではないのではないかというその謎だけでも興味津々なのだが、 その謎を追いかけているうちに思いがけない方向に話は進み、 大胆にも日本の歴史の根幹にもかかわる秘密へと話をつなげていく。
『逆説の日本史』という超面白日本史本を書いている井沢らしい展開だ。

ただ、諸手をあげて大絶賛というふうにはまいらない。
最大の不満は、肝心の「源氏物語多作者説」に対する突っ込みが足りないこと。
作者は、源氏54帖のうちこれだけが紫式部の作品という17帖を提示する。
その論拠はかなり納得性の高いもので、こちらは「ふんふん」と興奮しながら読み進めるのだが、その謎をそれ以上追及することなく、話は別の謎へと移ってしまう。
その謎も魅力的ではあるのだが、 タイトルに「源氏物語」と銘打った以上「源氏物語」の謎をもっと追及してほしかった。

例えば、原・源氏物語と他の部分における文体とかストーリーなどの違いについてもう少し突っ込んで欲しかった。
作者は原・源氏物語の論拠として作品に書かれた以上のものを 持ち合わせていなかったのかも知れない。
だとすれば、そんな曖昧なもので「『源氏物語』"秘録"」を書いたのかという不満も残る。
【じっちゃんの評価:★★☆】
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