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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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近代経済学の原点を知る~『ケインズ―“新しい経済学”の誕生』



 経済学はわりと好きな分野で、関連書籍もそれなりに読んでいる。だから、ケインズ経済学についてもある程度の知識はあったが、あくまで「ある程度」であって、その本質はもちろん、20世紀社会に「ケインズ革命」とも呼ばれる衝撃と影響を社会に与えた理由もよく呑み込めていなかった。そんなところへ、経済学分野の書籍を翻訳するかもしれない可能性が出て来て(まだ淡い可能性にすぎないが)、これではいかんと思って読んだのが本書である。1962年の発行だが、いまだに版を重ねているケインズ経済学の基本的解説書だ。

 実は、1962年発行ではなんぼなんでも古いと思い、この本の前に『経済学者の栄光と敗北 ケインズからクルーグマンまで14人の物語』(東谷暁、朝日新書)なる本を読んだのだが、ケインズ経済学に関する掘り下げが浅く、ケインズ経済学の本質と現代への影響を知りたいという私の要求を満たしてくれなかった。そこで、なかばしぶしぶと手に取ったのがこの本なのだが、さすが名著と言われるだけのことはある。私の要求を見事に満たしてくれた。

 ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』が出たのは1936年、世界大恐慌の影響がまだ残るさ中である。当時の経済学は大恐慌が起きた原因を説明できず、大恐慌に対して無力なだけでなく、それを助長すらしていた。というか、当時の経済政策自体が大恐慌の原因だったと言っても過言ではなかった。

 市場のことは市場に任せよ(神の見えざる手)、需要と供給は自動均衡する、均衡財政(税収が減れば支出も減らす)、貯蓄は美徳・・・・・そう言った当時の経済学における常識をケインズはことごとくひっくり返していく。本書はその理論のエッセンスとともに、ケインズがなぜそう考えるに至ったかという背景と道筋を丁寧に描いていて、経済学の素人でも十分に呑み込める。また、そうした中でケインズの人となりも浮かんでくるし、ケインズの理論が生んだ波紋も過不足なく描かれていて興味深く読める。

 本書を読んで驚くのは、今現在行われている経済政策のほとんどがケインズの理論に基づいていることだ。今年日銀が行った金融緩和とインフレ目標の設定がそうだし、公共投資による景気浮揚、相続税の増税、社会福祉の充実など、ことごとくがそうだ。「ケインズ革命」の名に恥じない革命的理論だったことがよく分かる。

 本書の唯一の欠点は、やはり1962年発行という古さだ。よってその後起きたケインズ経済学に対する批判的な動きも十分に描かれてはいないし、それを含めていま現在=21世紀におけるケインズ経済学の意味についてももちろん書かれていない。それを差し引いても、本書は今なおケインズ経済学の基本的解説書としての輝きを失ってはいないと言っていいだろう……とエラそうかつ紋切型なことを言って本稿をしめくくっておく。
【じっちゃんの誤読的評価:★★★★】
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COMMENT

こんにちは

怒涛の更新ですね o(^ - ^)o
奥様もお変わりなくお元気そうです
お孫さんは、とても可愛いです〜
ピットママはいつも書きますが、孫の居ないおばあちゃんです〜
o( _ _ )oアタフタ~
息子は独身ですが、本人の思うままにと思っております

お嬢さんは以前、来札の折は下の娘さんでしたか?
もう記憶が・・・・(^o ^;

三度目のお遍路さんに行かれるんですね
お天気に恵まれますように祈ってますよ♪

ケインズの経済学は現代になっても通用する本なんですね
岩波さんの新書の装丁は今も健在なんですね
書評、参考になりました
有難うございます

ピットママさん
>>息子は独身ですが、本人の思うままにと思っております
私も同じ考えです。こちらがどうのこうの思っても仕方ありませんもんね。
親としては何もしなかったのですが、3人の子どものうち上のふたりは結婚し、最後のひとりからも先日彼氏を紹介されました。

>>お嬢さんは以前、来札の折は下の娘さんでしたか?
上の娘です。

>>お天気に恵まれますように祈ってますよ♪
ありがとうございます。なんか台風が発生しているようで、嫌な感じなのですが。もっとも、お遍路では、雨も修行のうちなので・・・。

ケインズは大変勉強になりました。

こんばんは、経済学には門外漢の私です。
じっちゃんさんに、お教えを乞いたいのですが

>今現在行われている経済政策のほとんどがケインズの理論に基づいていることだ。


これは、日本にとって、間違っていないやり方だと思われますか?
また、将来的に日本経済はどうなると思われますか?
私は割りと悲観的な考えなんですが…

マンパワーというか、技術より技能があれば
快方に向かうかな~? と思ったりしています。
(独断的ですが、技術はマニュアル化できますが
技能はその人個人の物と思いますから)

日本では製造業って、まだ健在なんでしょうか?
物作り、活発ですか?
マネーゲームばかりしてないですか?

矢継ぎ早の質問で済みません。

この中でも、ケインズ理論に基づいていることに
何らかの意見があればお願いいたしますm(_ _)m

アイマイさん

難しい質問ばかりですねえ(^_^;)

>>これは、日本にとって、間違っていないやり方だと思われますか?
それについてはは正直分かりません。
今のところは金融緩和と公共投資ばかりで、
肝心な三本目の矢=成長戦略がよく見えません。
ただ、今の政府はやれることは
せいいっぱいやっていると信じています。

日本経済の(当面の)将来については悲観していません。
マネーゲーム云々については
アメリカほどではありませんし。
しっかりモノづくりしていると思います。
モノ(=ハード)にこだわり過ぎていて、
それで新興国にコスト競争でやられているくらいで。
勤勉で真面目な国民性も健在ですし。

ケインズは今すごい勢いで進展している
グローバル化を考慮に入れていないので、
その点で少し古くなっていると思います。

それから、今は経済、経済と
経済がすべてのようになっていることは気になります。
経済成長ばかりが人類の幸せだとは思いませんし、
そのおかげで犠牲になっていることも多いと思います。
そのあたりを見直す時期が来ていると思います。
ただ、日本を含め各国とも、少なくとも政府レベルでは
誰もそんなことを考えていないように思われることが
気になります。
政府も経済人もマスコミも「消費しろ、消費しろ。
消費しなけりゃ経済はよくならないぞ」と連呼して
ますからねえ。
そのあたりはとても違和感を覚えます。

じっちゃんさん

色々ご意見、有り難うございます。
とても参考になりました。
難しいことでゴメンナサイ。

日本経済、悲観してばかりでもないということですね。
マネーゲームも、アメリカよりましですか
そうですよね、ホリエモンも消滅?
(今、何してらっしゃるんでしょうね?)

物作りもしているのですね。
ただ、新興国にやられているということですね。

グローバル化しているので、ケインズは少しばかり
古いのですか、アベノミクスは古い経済学だと
言う人もありますが、そんな所でしょうか?


>経済成長ばかりが人類の幸せだとは思いませんし、
そのおかげで犠牲になっていることも多いと思います。

はい、これは同感です。
経済成長より、見直さねばならぬ物
ありますよね。そう思っている人は多いと思うのですが?

ご意見、有り難うございました。

アイマイさん

ホリエモンは元気に文筆活動しています(笑)
アマゾンなどで見てみてください。

アベノミクスが古いのかどうかは
私には分かりません。
まあ、いずれにせよ、経済学というのは
胡散臭さもただよいますね。

日本はいい国です。
世界一いい国です。
というのが、私の結論です。

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