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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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終盤の展開に度肝を抜かれる~『山魔の如き嗤うもの』



 三津田信三の刀城言耶シリーズは大好きなシリーズのひとつだが、2008年に『首無の如き祟るもの』を読んだのを最後に最近はご無沙汰していた。6年ぶりの同シリーズということになる。

 この作品の舞台はわが奥多摩である。しかし、地名はすべて架空のもので、モデルがあるのか、それがどこなのかはよく分からない。五日市のアナグラムである終下市(ついかいち)が出てきたり、情景描写などから檜原村ではないかとも思うが、定かではない。モデルはないというのが正解かもしれない。
 
 刀城言耶シリーズは本格ミステリとホラーを融合させているのが売りだが、本書でも、成人儀式で忌み山に迷い込んだ男性の手記で始まる冒頭から怪奇現象が目白押し。とても論理的に説明できそうもない怪異ばかりで、作者はどう収拾させるつもりなのか心配になる。

 その後に続く、お約束の連続殺人も、見立て殺人あり、密室あり、山魔の登場ありと、三津田ワールド全開でぐいぐい読ませる。だが…。

 最後の解決篇に入ったとたん、ありゃりゃと思った。冒頭の怪奇現象はきちんと論理的に説明がつけられるものの、「これなら、何でもありになっちゃうよな~」と思われるものだったし、それよりも何よりもメイントリックに疑問を感じたからだ。古くからある○○○○を壮大にしたもので、あっと驚くには驚いたものの、実行可能性の点でいかがなものかと思う。それに、あれだけの連続殺人を犯す動機がやっぱり弱すぎる。

「本格ミステリという約束事の世界なんだから」という声もあるだろうが、本格ミステリにも(本格ミステリの世界なりの)リアリティが求められる。それを確かなものにする努力(=レトリック)が作者に求められると思うのだ。

 と不満顔の僕を、その後、驚天動地の展開が待っていた。ネタバレになるので詳しくは(詳しくなくも)書けないが、リアリティの脆弱性なんかどうでもよくなる展開で、作者の手のうちで翻弄されまくった(それも気持ちよく)。

 アマゾンのレビュー(未読の人は決して読まない方がいい。ネタバレのオンパレードだから)を見ると、逆にその点を不満だと思っている読者もいるようだが、僕はこういうのは好きである(※)。

※何事でもそうだが、好き嫌いというのは理屈ではなく感性の問題なので、議論をしても始まらない。

 ただ、怖さという点では、少々ゾクゾクはさせられたものの、それほどでもなかった。その点ではシリーズ第1作の『厭魅の如き憑くもの』が群を抜いている。しかし、それは作者のせいではなく、私の感性が鈍くなったせいなのかもしれない。何しろ第1作を読んだのは8年も前だからなあ(そのときの記事はこちらをご覧ください)。

【じっちゃんの誤読的評価:★★★☆】
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