大胆な予測が目白押し~『2015年 日本経済のシナリオ』
来年およびその後数年の日本および世界経済の見通しを書いた本。その結論を書いてしまえば……
日本経済の見通しについては、本書冒頭の1行目にいきなり「日本経済の見通しは、きわめて明るい」と書かれており、それに沿って論旨が展開される。
米経済もシェール革命が牽引車となって見通しは明るい。一方、EUは牽引役のドイツ、フランスまでがデフレに入ってしまい、銀行の不良債権問題もあって経済は低迷する。中国も不良債権(シャドーバンキング)問題を抱え、当面は何とかしのぐものの、近いうちに破たんする可能性が高い。
……ざっとこうなる。これが当たってるかどうか私に判断する能力はないが、著者の論旨にはまずまず説得力がある。興味深いのは、経済以外を含め、もっと大胆な予想もしていること。いくつか紹介しよう。
・来年米株価は混迷、一方日本の株価は順調で、双方の相関関係が崩れる。
・米株価が低迷する原因は経済ではなく政治にある。オバマ政権はベンガジゲート事件と違法移民恩赦問題という2つの爆弾(詳細略。ネットで調べてください)を抱え、来年弾劾裁判を経て任期途中の退陣となる可能性が高い。
・イスラム国問題は泥沼化し、テロが世界に拡散する。そして、ある日突然の原油高が発生する可能性がある(これと中国経済が日本経済にとっての最大のリスク)。
・中国は習近平と江沢民元国家主席との権力闘争が激化しており、近いうちに何か大きな変化が起きる可能性がある。
・中国バブルの崩壊は時の問題。当面は大丈夫だが、2017年頃が危ない。
・北朝鮮の拉致問題は現在停滞しているが、北朝鮮がこの件に関して本気なのは変わらない。来年4月の統一地方選挙の前に大きな動きがあるのではないか。
この当否を判断する能力も僕にはない。来年末(問題によっては数年後)に振り返って、当たりはずれを評価するのも一興だろう。最後の予測についてはぜひ当たって欲しいが、他の予測に比べて著者の歯切れが少しだけ悪いのが気がかり。
本書の真の目的は、経済の見通しを通して、株投資を含めた投資の展望と、方法論について論ずることである。その点については要約が難しいし、「当たるも八卦」の世界なので、触れることは控える。ただし、著者のスタンスは短期投資ではなく、中長期投資にあり、結構真っ当であるとだけ言っておく。
【じっちゃんの誤読的評価:★★★☆】
⇒予測が当たったら★5つでもよい。
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