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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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三屋清左衛門残日録

久々に藤沢周平さんの作品を読みました。

藤沢さんは好きな作家のひとりです。といってもファンと呼べるほどではなく、これまでに読んだのは以下の6作だけです。あるデータベースによると藤沢さんの著作(小説)は単行本ベースで68作あるそうですから、一割にも達しません。

  『用心棒日月抄』 ★★★★
  『消えた女』 ★★★
  『漆の実のみのる国』 ★★★
  『市塵』 ?(未評価)
  『蝉しぐれ』 ★★★★
  『闇の傀儡師』 ?(未評価)
 
藤沢さんの最高作といわれる『蝉しぐれ』がやはり僕の評価でもNo.1になっています。★5つではなく☆ひとつマイナスした理由は今となっては覚えていません。

今回読んだのは、やはりこれも世評の高い『三屋清左衛門残日録』です。

この作品は主人公の三屋清左衛門が隠居するところから始まります。

隠居前には悠々自適の生活を思い描いていた清左衛門ですが、実際に隠居してみると、藩邸に赴く必要もなく終日一人の客も来ない毎日に、清左衛門は「世間から隔絶されてしまったような自閉的な感情」「異様なほどの空白感」に襲われます。現代の定年退職者とまったく同じですね。思わず苦笑するとともに、おおいに共感を覚えました。

もちろん小説ですから、このまま清左衛門の隠居生活を淡々と描写し続けるというわけにもいきません。

--------------------
ある日清左衛門のもとへ旧友で町奉行の佐伯熊太が訪れます。佐伯は清左衛門に小事件の解決を依頼するのですが、ここから清左衛門の生活は普通の定年退職者とは大きく違ってきます。

言うまでもなく、清左衛門はその依頼事をみごとに片付けるのですが、以後この佐伯を筆頭に旧同僚や旧上司から次々と清左衛門に頼みごとが持ち込まれたり、あるいは事件が起きたりします。この辺小説とは言えちょっと都合のよすぎる展開のようにも思われます。

この作品は12話からなる連作短編集の形をとっていて、清左衛門が依頼ごとや事件を解決することにより各話が一応完結します。それはそれで十分おもしろいのですが、やがてこうした依頼ごとや事件の背景にお家騒動がちらつき始めます。このお家騒動が全作を貫く太い縦糸となって長編としての体裁を整えるともに、作品にさらなる興趣を添えます。

ストーリーのおもしろさもさることながら、登場人物が魅力的なのも藤沢作品が多くの人に愛される理由でしょう。

まずは主人公の清左衛門が渋い魅力を発揮します。何ごとに対しても冷静に毅然と対応し、そして人々に対する優しさも忘れない清左衛門のかっこいいこと。もちろん清左衛門とて老いを始めとする弱点はあるのですが、それを本人がきちんとわきまえて対処するために、弱点が弱点となって表れないのです。逆にこれがこの作品の難点と言えば言えるでしょう。もう少し弱さを見せて懊悩する場面があってもいいような気がしました。

周囲の人々も清左衛門に負けず劣らず魅力的です。豪快で人懐っこくそれでいてやり手の町奉行・佐伯熊太。舅の清左衛門に対して細やかな気配りを見せる息子の嫁・里江。隠居後も清左衛門に気遣いを見せる藩主。清左衛門行きつけの小料理屋の女将で清左衛門に思いを寄せる(?)みさなどなど...。

藤沢周平の魅力のひとつである、抑制のきいた静謐で上品な、叙情的といってもいい筆致は、この小説でも例外ではなく、それを含めておおいに藤沢周平ワールドを堪能させてもらいました。

【じっちゃんの評価:★★★】

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COMMENT

先日はコメントありがとうございました&挨拶が遅くなりまして済みません!
テスト期間中でPCに触る暇がなかったもので…。

藤沢周平さんの作品は『神隠し』しか読んだ事がありません。
短編集でしたが、中々面白かった記憶が有ります。

それにしても、レビューのペースがとても速くて羨ましいです。
これからも頑張ってレビューを続けて下さいませ!
それでは失礼します。

わたしも藤沢周平さんのは1,2冊しか読んでません。時代物はすきなのですが、山本周五郎さんのを読みすぎてしばらくもういいや、って感じです。

今、「ヒーリングバックペイン」読んでます。医学書の堅苦しさはなくて、読み物としても結構おもしろいですね。「腹が立つ」ことはないですよ。読み終えたら少し感想をまとめてみようと思います。

<<遠野さん>>

ご訪問&コメントありがとうございました。
>これからも頑張ってレビューを続けて下さいませ!
はいはい、がんばりまっす!

なお、そちらのブログのほうにもコメントさせていただきました。

<<おむすびさん>>
いつもありがとうございます。

>山本周五郎さんのを読みすぎて
読みすぎるくらい読んだってのはすごい!
どのくらい読まれたんでしょう?


>「腹が立つ」ことはないですよ
よかった(^▽^)

>読み終えたら少し感想をまとめてみようと思います。
ぜひぜひ。

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