逆襲獄門砦
製作年: 1956年(昭和31年)
製作国: 日本
配 給: ?
監 督: 内田吐夢
出 演: 片岡千恵蔵、月形龍之介、高千穂ひづる
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じっちゃんの選ぶ日本映画ベスト10に入る名作『飢餓海峡』(『砂の器』と並びミステリ映画の2大名作です。ホント、ほれぼれするようないい映画です)の名匠・内田吐夢の時代劇。
代官の圧政に耐えかねた農民が反乱を起こすって話です。どうも、ウィリアム・テルを換骨奪胎しているようで、ウィリアム・テルのあの有名なシーンとそっくり同じシーンが出てきます。んでもって、主人公の猟師(片岡千恵蔵)の名前が照蔵(^_^;
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どんどんエスカレートしていく代官の圧政に耐えながらも暴発へのエネルギーを溜めていく農民たちの様子が巧みに描かれ、それがいよいよ暴発すると、千人以上ものエキストラを集めたという暴動シーンや、代官が農民の強制労働によって作った砦を縄で引き倒すシーンなどが迫力満点に描かれます。
代官役はご存知・月形龍之介ですが、やっていること(=もちろんすごい非道なこと)を除けば、めちゃくちゃかっこよくてとても悪代官にはみえません。知的で渋くて颯爽としていて。悪代官というよりも、切れ者の城代家老といった感じ。そのため善玉・悪玉という構図が少しぼやけてしまっています。
逆に、その悪玉ぶりをはっきりさせるためでしょうが、悪代官のやる圧政はあまりに非道かつ理不尽で、いくらなんでもそこまでやるかという気がします。そんなことしたら暴動が起きるに決まっているではないか、そんなこともわからないのかお前は、と突っ込みたくなります。これで代官が頭悪そうだったら、それでも納得するんですが、今も書いたように月形龍之介はすごい切れ者って感じなのでどうしても不自然さを拭い去れません。
代官が①悪役には見えない、②こんなことをする馬鹿には見えない、この二つが最後までつきまとって、物語を素直に楽しむことができませんでした。
片岡千恵蔵の猟師役もちょっと似合わない感じ。それに千恵蔵の息子役の子供の演技がめちゃくちゃ下手で白けます。
でも、古きよき時代の日本映画のよさは感じられる演出と内容でした。もう一本同じ監督が撮った時代劇『黒田騒動』もDVDに録画してあるので、次にはこちらを見たいと思います。
【じっちゃんの評価:★★☆】