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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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もったいない話~『箱根富士屋ホテル物語』



 これも箱根関連本。

 箱根に冠たる「箱根宮ノ下富士屋ホテル」の創業から一族経営が終わるまでの、明治、大正、昭和に渡る物語。ちなみに、著者は3代目経営者にして一族最後の経営者となった山口堅吉のお孫さんに当たる。

 冒頭、ホテル創業にまつわる数々の謎を著者が追いかけていくところは、まるで上質のミステリーを読んでいるようで、わくわくさせられる。

 その謎解きが終わると、創業から戦後までの三代の経営者たちの物語が始まる。独創性と先見性によって、リゾートホテルなどという概念が日本にはない時代に一大リゾートホテルを創った山口仙之助、鋭い美的感覚と進取の気性によって富士屋を発展させた正造、正造の突然の死によって縁の下の力持ちから経営者へと引き上げられ、堅実な性格で戦中戦後の苦しい時代を乗り切った堅吉。そのどれもがドラマチックで楽しめる。

 ただし、物足りなさも残る。富士屋ホテルはチャップリンやヘレン・ケラー、マリリン・モンロー、ジョン・レノンなど著名人が滞在したことで有名なのだが、そのことにはほとんど触れらていない。そのことにも象徴されるように、作者には読者を楽しませようという気持ちが欠けているように思われる。したがって、もっと面白くなるはずの物語が「やや面白い」にとどまっている気がする。

 横井英樹(例のホテルニュージャパンの経営者)による乗っ取り事件についても、なんだか新聞記事を読んでいるような物足りなさが残る。横井英樹に児玉誉士夫、小佐野賢治という昭和の裏面史を飾った、ひと癖もふた癖もある連中が直接的に絡んでいるのだから、もっと紆余曲折の物語があったはずであり、もっと面白くなるはずである。経営者一族のどろどろした争いに対して、関係者として腰が引けている一面があるのかもしれないが、せっかくの材料がもったいない話である。
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COMMENT

No title

前編は盛り上がり、後編は物足りなさがある本は
関係者がご存命の場合、書きにくい面もあるかもしれませんね。

富士屋と言えばお菓子の「不二家」を思いだし、そのホテルかと思っていたら、違いました^^;

>チャップリンやヘレン・ケラー、マリリン・モンロー、ジョン・レノン

すごいメンバーですね。実際に見ただけでオーラが漂っていそうですから、そんなお話もあれば良かったですね。

No title

アイマイさん

翻訳の納期が今日で、ねじり鉢巻きで仕事していましたので、コメントを拝見するのが遅くなりました。

> 関係者がご存命の場合、書きにくい面もあるかもしれませんね。
まさにそのとおりだと思います。作者が第三者なら嫌われるのを覚悟で書くこともできたかもしれませんが、作者自身が関係者ですからね。

ただ、チャップリンなどのお客様のエピソードは欲しかったです。なぜ書かなかったんだろう? 不思議です。

【蛇足】
 訳文は先ほど納品いたしました。

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