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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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東海道歩きの元祖の物語~『そろそろ旅に』



 この物語の主人公は十返舎一九である。言わずと知れた『東海道中膝栗毛』の作者であり、知る人ぞ知る、静岡市(駿府府中)出身の有名人のひとりである。同郷で東海道歩きを敢行中の者としては読まずにいらりょうか。

 だが、静岡時代の一九は描かれない。描かれるのは、武士の重田与七郎が大坂に出て浄瑠璃作家の十遍舎一九となり、さらには江戸へ移って売れっ子の戯作者として『東海道中膝栗毛』を出すまでである。

 一九が武士を捨て戯作者となり大成していく、いわばサクセスストーリーをぼくは期待していたのだが、その期待は微妙に裏切られる。作者の興味の中心がそこにはなく、それよりも、少年時代、そして大坂時代に起こした事件をトラウマとして抱え苦悩する一九を描くのに忙しいからだ。

 蔦重、山東京伝、滝沢馬琴、式亭三馬、喜多川歌麿……綺羅星のごとき、当時の出版界のスターたちと一九との交流も楽しみのひとつだったが、ここでも期待は裏切られる。作者の描くそれらの人物像がいまいち薄っぺらいのだ。人間としての厚みも、一流人としての魅力も感じられない。具体的にどこがどう悪いと指摘はできないが、読んでいてわくわくとさせられないのである。

 静岡は出てこないが、一九の周辺には静岡出身の人間が出入りする。その人間たちとのやり取りに静岡弁を駆使する作者の試みには拍手を送っていい。その静岡弁もよく研究したと見えて、かなりいい線までいっている。しかし、静岡ネイティブの読者から見るとやはり不自然な点がちょこちょこと目についてしまう(ちなみに作者は京都生まれ)。この言葉の意味はちょっと違うんだけどなあとか、ここだったらこの言葉を使うだろうとか。まあ、それはないものねだりに近いんだろうけど。

 なお、最後に明かされる、ミステリ顔負けの大仕掛けには完全に意表を突かれた。『イニシエーション・ラブ』級の驚きだったと言っておこう。
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COMMENT

なるほど!

こんばんは o(^ - ^)o

作者の視点によって物語ができてくるんですね
確かに、そう言われてみればそうですね!

題名の そろそろ旅に

は、とても興味を惹かれる上手いネーミングだなと
思いましたよ (*^ . ^*)エヘッ

そんな訳で、じっちゃんの次なる東海道の旅を読むことに!
あれ?????

坂東三十三ヶ所に、お出かけなんですね
o(^▽^)o キャハハハ

No title

ピットママさん

タイトルは確かにいいですね。

そうです、東海道旅はしばらく(恐らく秋まで)お預けです(*^^)v

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