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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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聖徳太子は実在しなかった?!~『天孫降臨の夢 藤原不比等のプロジェクト』



 驚くべき書物である。

 いきなり、聖徳太子は実在しなかったという。それだけでも驚きだが、太子が摂政を務めたはずの推古天皇も実在しなかったという。ならばその当時の本当の天皇は誰だったのか?--それは蘇我馬子である……と来る。

 著者に言わせると、そもそも天皇は万世一系ではなく、飛鳥時代までは複数の王権があって、交代で大王を務めていた。そのひとつが馬子、蝦夷、入鹿と続く蘇我氏だった。万世一系の天皇像が作られたのは乙巳の変(大化の改新)以降である。そしてその作業の中心となったのが藤原不比等であり、その仕掛けとして作られたのが『日本書紀』である。『日本書紀』によって聖徳太子がねつ造され、天孫降臨・万世一系の神話が作られたのである。

・・・・・・本書の主旨を要約すればそうなる(※1)。まことに驚くべき内容であり、にわかには信じがたい。

※1 「たかが読書感想文でネタばらしするんじゃない!」とお怒りになる方もおられるかもしれないが、その批判は早計である。以上のことは本書の序文(「はじめに」)にすべて書かれているからである。

 ぼくも本書を読みはじめた当初(「聖徳太子は実在しなかった」のくだり)は、眉がびっしょり濡れるくらい眉に唾をつけながら読んだ。そして根拠の弱さにうんざりして、何度か投げ出しそうになったほどだ。しかし、我慢して読み進めていくうちに、「ん?!」「え!?」「おっ!」「おおっ!!」「おおおっ!!!」となって信頼度が増していき、全体像が見える頃にはすっかり信じていた。

 かならずしも個々の説については論拠が強いわけではない。せいぜい「こうであったとしても説明はつく」程度である。ところがそれらの説が集まって全体としてひとつの像が描かれたとたん、「あっ、そうだったのか!」とうなずかされることになる。まるでパズルの断片が集まって、最後に美しい1枚の絵ができるように。

 ともかくも、この全体像は見事としかいいようがない。その絵を見ていると、日本古代史の真相はそれしかないとさえ思えてくる。それにともなって、以前から日本史に対して漠然といだいていたいくつかの謎が鮮やかに解かれて、実にすっきりした気分になる。

 なぜ、天皇はあんなに古い昔から揺るぎない権威を持っていたのか? なぜ天皇は中世にいたって権威だけあって権力のない存在に祭り上げられてしまったのか? 万世一系中断の危機を救った継体天皇の登場が意味するものは? 歴史上唯一の天皇暗殺・崇峻暗殺事件はなぜ起きたのか、真犯人は誰なのか?聖徳太子はなぜ天皇に即位しなかったのか? etc.etc.

 特に壬申の乱のいくつかの謎が次々と解かれていくのは、最強の天皇のひとりと言われている天武が無能だったというあたりを含めて痛快だった。

 ぼくは歴史家でないので、個々の論証について是非を言える立場にないが、くりかえすように、全体像を見るかぎり、日本古代史のあり方としてそれ以外ないように見えてくる。この書に対してしっかりと反論する書物はまだ出ていないようだが、そう言う書物や、あるいは本書を補強する書物が出てきたら、ぜひ読み合わせて理解を深めたいところである。

 歴史好きの方--特に古代史好きの方には一読をお薦めする。
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COMMENT

歴史は面白いようですね

日本人なのに日本の歴史に関して
まるで知識が無いピットママ (^o ^;
授業で習ったときは興味のある時代や人物
伝記物などを読んで戦国武将の運命やら
あれこれと齧った程度です

ボランティアでも札幌の歴史も勉強しますが
もう膨大な量になってきて・・・・

歴史って興味がなければ楽しくないですね
そんな中、じっちゃんの感想を読むと
こう言った別の視点の読み物は
とても面白いのではと思います〜

ご紹介有難うございました (*^ . ^*)エヘッ

No title

ピットママさん

コメントありがとうございます。
&ボランティアご苦労様です。

北海道の歴史と言えば、アイヌに触れないわけにはいきませんね。
むかし『蝦夷地別件』というのを呼んだのですが、
とても感銘しました。

ところで、最近はフェースブックに入れ込んでいて、
こちらはいささかおろそかになっています。
回数は減るかもしれませんが、
ブログは続けるつもりなので
変わらぬご愛顧を(*^^)v

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