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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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関所が生む波乱万丈の物語~『水鳥の関』



 本作の舞台は東海道は新居の宿。と書くと、ははんと思われる方もおられるかもしれないが、そのとおり。先だって東海道歩きで新居宿を通過するのにあやかって、旅先で読む本としてチョイスしたもの。

 内容に触れる前に、そのときの失敗談をひとつ。

 本書は上下2巻の構成なのだが、荷物が増えるのを嫌って(※)上巻だけを持っていった。ところが、往きの車中で読み出したら、面白いのなんの、ページを繰る手が止まらなくなり、その日のうちに読み終わってしまった。

※ 歩き旅では荷物の重さを極限まで減らすのが重要。グラム単位とまでは言わないまでも、数10グラム単位で荷物を調整する。文庫本は1冊200グラムくらいあるからねえ。

 下巻は旅先で買えばよいと思っていたのだが、宿泊先の藤枝ではどの書店に行ってもこの本を置いていない。それもそのはず、後からわかったことだが、これだけの傑作がなんと絶版になっており、古書でしか手に入らない状態になっていたのだ。結局下巻を入手し読むことができたのは東京に帰ってからだった。

 さて前置きはこれくらいにして肝心の中身の話に入ろう。

 主人公は新居宿の本陣の娘。娘と言っても、一度吉田藩の家臣である侍の家に嫁ぎ、夫と死別後実家に戻ってきた出戻りである。

 死別した夫との間には男の子があるが、婚家から会うことを禁じられている。唯一の救いは、夫の弟が何くれとなく気づかってくれ、いつか息子に合わせると約束してくれていること。やがて、その義弟が約束を果たす日が来る。渋る両親を説得して、主人公を家へと招き、息子との対面を実現してくれたのだ。そして、そこから物語は怒涛の展開へと突入する。

 その展開のなかで重要な役割を果たすのが、ほかでもない新居の関。関所を通るには通行手形が必要だが、その手形はおいそれとは出ないし、出るにしても時間がかかる。そのことが主人公の運命を大きく左右することになる。

 燃えるような恋あり、純愛あり、三角関係(それも二重の)あり、はらはらどきどきのサスペンスあり、謎あり、復讐劇あり、陰謀あり、人情劇あり、感動ありで、もうてんこ盛り。解説によれば、著者の平岩弓枝は希代のストーリーテラーとして定評があるらしいが、その実力が本書でもいかんなく発揮されている。

 ひとつ難があるとすれば、物語を作りすぎていること。偶然の巡りあわせが多すぎるし、ここぞというときに正義の味方がタイミングよく現れる。しかし、文章に品があってリアリスティックなので、読者の感じる不自然さは最小限に抑えられる。それよりも何よりも物語が面白いので、あまり気にならない。

 もうひとつの魅力は、宿場の本陣というもののありようが丁寧に描かれていること。大名がどのようにして本陣を確保するか、本陣の人たちは大名をどのように迎えどのように送り出すか、献立はどのように考えどのように整えるのか、天候が荒れて渡し場が閉鎖されたときはどう対応するのか、本陣以外の旅籠との関係はどうかなどが、その目でみたかのようにありありと活写される。

 そして何よりもかによりも、運命に翻弄される娘を優しく見守る父親の姿に心を打たれた。何があっても娘を信頼し、支え、ときには導き、ときには諭す姿がもう素敵すぎる。自分もこんな父親になれればと思うが、まあそれはないものねだりでしょうな。

 最後に向かって広げた風呂敷が畳まれていき、すべてがしかるべきところに収まるとともに、『水鳥の関』というタイトルの意味がわかる結末も見事だ。

 平岩弓枝のほかの作品も読みたくなった。
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COMMENT

こんにちは

平岩弓枝さんのこの本は絶版でしたか〜
父も平岩さんの本が好きで何冊もありましたが・・・
全てブック◯◯さんに出してしまいました (^o ^;

先日、英会話で先生が勧めてくれた本

"A Short History Of Nearly Everything"

By Bill Bryson.

ピットママには、これを英語で読むのは
さぞ難しいでしょうね〜
なんせ、今はエルマーの冒険シリーズの本を
読んでいるレベルです o( _ _ )oアタフタ~

本日、ご紹介の本
父を思い出しました (✿╹◡╹)♡

No title

ピットママさん

お久しぶりです。

最近はFacebookばかりやっていて、ブログは思い出したときにやっているような状況(^_^;) そんな私のブログをときどきのぞきに来ていただいてありがとうございます。

平岩弓枝、お父さまの愛読書ですか。私はこれが3作目。今までの2作は感心しなかったのですが、これは感心を通りすぎて感動しました。すっかり平岩弓枝のファンになり、今また『妖怪』というのを読んでいる最中です。

"A Short History Of Nearly Everything"は私もタイトルだけ知っています。邦訳も出ていて、かなり評判になったはずです。

エルマーの冒険もとってもいい本で、私も読みましたし、子どもたちにも読ませました(もちろん日本語で)。英語で読んだら、また違った面白みがあるでしょうね。

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