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じっちゃん

Author:じっちゃん
翻訳家。
もとコンピュータ技術者。二足の草鞋で翻訳を始め、定年後フリーランサーに。
【趣味】
①読書:ミステリを中心に時代・歴史小説、歴史や科学などのノンフィクション
②四国遍路(2015年11月結願)
③街道歩き(現在敢行中)
④SNS(ブログ、Facebook、Line)
⑤観劇
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ほうかご探偵隊


倉知淳は大好きな作家です。特に『星降り山荘の殺人』は端正な本格ミステリで、私の中では日本ミステリオールタイムベスト10とまではいかなくともベスト20には確実に入る大傑作です(※)。

※これを読んでいない方は幸せものです。これからこんな大傑作が読めるんですから。

が、何しろ寡作で。デビュー後11年間で10作しか作品を出しておらず、しかもそのうち長編は4作のみ。なかなか長編の新作を読むことができません。

というわけで、これまで子供向けということで敬遠していた『ほうかご探偵隊』を、古書店で見つけたのを契機に読むことにしました。

で、早速飛びつくように読み始めたのですが、途中で「ん」となりました。というのも、こんな記述があったからです。

--------------------
 「僕らの学校は、富士山の裾野にある小都市の、ごく普通の学校だ」

「ん、これって静岡じゃん(※)。ってことは、ひょっとして倉知さんは...」と思ってWikipediaで調べてみたら、やっぱり倉知さんは静岡県の出身でした。うかつでした、大好きな作家が同郷ってことを知らなかったとは。

※「富士山の裾野」には山梨県も該当しますが、上記の記述の後に「温暖な気候のせいか、県民の気質として、みんなおっとりしている」とあり、これは静岡県に間違いありません。

というわけで、続けてWikipediaで静岡県出身の作家を調べてみました。するといるわ、いるわ。(※)

※必ずしも静岡生まれではなく、育ちや学校が静岡県だって方も含まれます。

A:藤枝静男(藤枝市)、乾くるみ、瀬名秀明(静岡市葵区)、志茂田景樹(伊東市)、十返舎一九(現・静岡市)、村松友視(静岡市)、井上靖(湯ヶ島)、小川国夫(藤枝市)、三木卓(静岡市)

B:鈴木光司(浜松市)、宮本昌孝(浜松市)、嵐山光三郎(浜松市)、池宮彰一郎(沼津市)、森瑶子(伊東市)、梓沢要、諸田玲子

上記のうちAグループは私も静岡出身だと知っていた作家さん、Bグループはそうとは知らなかった作家さん。うーん、驚きました。『リング』の作者も静岡県出身だったんですね。

本題とは関係ない話が長くなりました。本題=『ほうかご探偵隊』の話にはいりましょう。前振りが長くなったので手短に。

題名から想像がつくように、小学生たち探偵隊を組んで学校で起きた事件を捜査するというお話です。連続XX事件ですが、さすがに小学生ですから、XXには殺人事件といったような血なまぐさい事件は入りません。教室から立て続けに4つの不要物(生徒の作品だったり、持ち物だったり)がなくなるというもので、いわば連続"不要物消失"事件です。その4つのモノの間には脈絡がなく、それらの4つのモノの消失の因果関係が、犯人は誰かとともに、最大の謎となります。

そして、その真相は十分意外かつ鮮やかです。また、その真相に驚かされた後で、それが、こうした舞台設定だからこそ成り立つ真相だということに気づき、二度うならされました。また、真相がいきなり明らかにされるのではなく、謎がすこしずつほどけていく過程を丁寧に描いているのも好感が持てました。

真相を知ってからうならされるのは、優れた本格ミステリはすべてそうなのですが、伏線の巧みさです。「おいおい、あれが伏線だったのかよー」という伏線や「あれに気が付かなかったとは、おれって...」というものばかりで、読後だまされた快感に浸ることができました。

探偵役の子供たち(定石通り男の子2人、女の子2人)も、同級生たちも、先生方も、周辺住民の方も(ステレオタイプといえば言えないことはありませんが)それぞれがキャラ立ちしていて活き活きと描かれているのもこの作品の魅力です。また、子供たちを通して語られる、作者のミステリへの熱い思いも、同じミステリファンとしてはここちよく感じられます。

子供向けということやページ数が少ないこともあり、スケールが小さいことやボリューム感に乏しいことが難点ですが、大人でも十分に楽しめる内容になっています。

いやー、倉知淳っていい作家ですねぇ、いっそう好きになりました。早く大人向けの長編ミステリを出してくれないかな。

【じっちゃんの評価:★★★】

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COMMENT

倉知淳さんねえ。
また知らない作家の名前を教えてもらいました。
そしてまた読んでみたくなりました。
いま、「インザプール」読んでいます。
なかなかいいです。
これも「待機図書」のなかに入れなくちゃ。

おむすびさん

ミステリがお好きなら倉知淳はおススメです。他の新本格の作家と比べて小難しくなく、すいすい読めます。でいてその質は高いですので。
『星降り山荘の殺人』が一番のおススメですが、『壺中の天国』もおススメです。

おじゃまします。
静岡出身の方結構いらっしゃるんですね。
しかも、名前をちらちら聞く有名な方が・・・
出身は違いますけど、現在静岡県在住ですので、
ちょっと、親近感がでてきますね。
じっちゃんさんも、出身が静岡ですよね。
これも、何かのご縁でしょうか・・・

この本も、伏線が上手くはってあるみたいで、面白そうですね^^

>出身は違いますけど、現在静岡県在住ですので
そーなんですか。びっくりです。世間て狭いっていうか、おっしゃるとおりこれも何かのご縁ですね。よろしくお願いいたします。

>静岡出身の方結構いらっしゃるんですね。
>しかも、名前をちらちら聞く有名な方が・・・
サッカー選手なら掃いて捨てるほどいます(;^_^A

>この本も、伏線が上手くはってあるみたいで、
伏線にはほとほと感心します。本格ミステリは伏線の張り方の上手下手が出来を左右しますからね。

>いま、「インザプール」読んでいます。
>なかなかいいです。
でしょ。

こんばんは
「星降り山荘」、実は未読なんです。
倉知淳は名前と(なぜか)顔は知ってたんですが、
とっかかりが無くて何となく読まずに来てしまいました。
大変お勧めのようなので俄然読む気になりました。
今法月綸太郎の「怪盗グリフィン」読み始めたところなので、
これが終わったらさっそく読みたいと思います。

「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」も読みました。
いつだったか、ドラマ化して伊良部を阿部寛がやってましたが
阿部寛じゃちょっと格好良すぎますよねえ…笑

ヒトヤさん、ご訪問ありがとうございます。
>これが終わったらさっそく読みたいと思います。
本格ミステリがお好きな方ならきっと気にっていただけると思います。
【注意】この本はゆっくりじっくり読んでください。先を焦らずに。

>阿部寛じゃちょっと格好良すぎますよねえ
僕はそのかっこよさと、性格・行動の落差が面白かったです。

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